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FC東京、3回戦進出。ヴェルディとの“東京決戦”へ【天皇杯2回戦 vs.福島ユナイテッドFC News/無料公開】

 

横浜F・マリノス戦での退場処分による苦い想いを払拭するかのようなゴールを決めた松木玖生。Photo by HIROTO TANIYAMA(撮影:谷山央人)


 6月7日、FC東京は味の素スタジアムで天皇杯 JFA 第103回全日本サッカー選手権大会 2回戦に臨み、福島ユナイテッドFCと対戦。3-1の勝利を収め、天皇杯3回戦への進出を決めた。東京は7月12日に開催される3回戦(会場未定)で東京ヴェルディと対戦する。
 
◆松木が味スタ初ゴール
 

塚川孝輝の個の力によるゴールで同点に追いつく。Photo by HIROTO TANIYAMA(撮影:谷山央人)


アダイウトンがPKを決めて逆転に成功。Photo by HIROTO TANIYAMA(撮影:谷山央人)


 不足している左サイドバックのみ徳元悠平が直近のリーグ戦から連続して先発したが、それ以外のポジションはすべて入れ替え、体力的にフレッシュなメンバーで臨んだ。しかし序盤の10分間はJ1とJ3の差を見せるには至らず、前半12分に失点。ゴール前でタメをつくられ、右サイドからのクロスをダイレクトで塩浜遼に決められた。このビューティフルゴールで尻に火がついた東京は19分、インターセプトした塚川孝輝がそのまま独力で持ち込み自ら決めて同点に追いつくと、30分には浮き球を追ってボックス内に入ったアダイウトンが福島の選手と接触、ファウルに遭いPKをゲット。これをアダイウトンがゴールキーパーの動きを読んで右隅に決め、逆転に成功した。東京は後半13分にも4人が攻撃参加した速攻から、その4人の左端にいた松木玖生が左足で“味スタ初ゴール”を決め、これで勝敗はほぼ決した。
 
◆ショートショート本音Column
 

なかなか公式戦に出られず辛酸を嘗めていた鈴木準弥が先発。Photo by HIROTO TANIYAMA(撮影:谷山央人)


「いい話と悪い話がある。どっちから聞きたい?」という感じの一戦でしたね。苦手の天皇杯初戦でカテゴリーが下の相手に内容がよかろうが悪かろうがとにかく勝ったということ自体は喜ばしい。この大会で優勝する可能性を残したわけですし、先制されても逆転したというメンタリティもいいほうに捉えることが出来ます。
 
 そして直近のリーグ戦で退場処分を受け次節出場停止となり、この天皇杯で己の価値を示すほかはなかった松木が自らに課せられた試練を乗り越えるがごとくゴールを決めたことももちろんすばらしかった。ノックアウト方式の大会ともなれば内容よりも結果ですから、トータルでは喜ぶべき試合だったと言えます。
 

松木のゴールがダメ押しに。Photo by HIROTO TANIYAMA(撮影:谷山央人)


西堂久俊にも出場機会が巡ってきた。Photo by HIROTO TANIYAMA(撮影:谷山央人)


 しかし一方で、内容的には不満が残る一戦でした。カテゴリーが下の相手にしっかりタメをつくられ、いいタイミングのスルーパスを弓矢のようにピッと出されて、そこからのクロスをきれいに決められてしまうのはどうなの……という気にもなりますし、終盤のゲームコントロールも気になります。最初の10分と最後の10分、とにかくオープニングとクロージングがよくない。失点して追い込まれないと能力が発揮出来ないのもどうかと思いますし、個の力が不足している分、チームとしてのスタイルを突き詰めてチーム力やサッカーそのもので勝とうとしている相手に対して「個の力でぶん殴る」でどうにかしてしまうのも、やはりどうかと思います。
 

土肥幹太が公式戦初出場。Photo by HIROTO TANIYAMA(撮影:谷山央人)


 試合の締め方についてアルベル監督が「ボールを保持しながら試合を終わらせることを学んでほしい」と言うのももっともなことで、このスタイルを追求するチームであれば、やはり最終盤にボールを保持し、押し込み、圧倒してタイムアップの笛を聞くという光景を具現化しないといけない。
 最低限、どれだけ内容がよくなくとも勝たないといけないというラインを守れているのはいいことですが、火事場の馬鹿力と個の強さだけでなんとかしている状態だと、天皇杯3回戦以前に次のリーグ戦が不安になってきます。
 
 チーム全体にやるべきことが浸透し、誰が出てもチームとしての力が落ちないことが理想です。しかし東京の場合はリーグ戦に出ているメンバーの間ではある程度事態が好転していても、カップ戦のメンバーにそれが波及しきっていないように見えます。リーグ戦に出られないメンバーは、だからこそ悔しい想いを抱えながら、ときに練習で相手役を務めながら自分たちにとって嫌なことを学んだり、もちろん自分たちのサッカーがなんたるかについても学び、吸収して、それをこのカップ戦の舞台で表現していかないと、なかなかポジション争いに加われない。いかにふだん試合に出ていない選手の力を伸ばすか。主力がある程度のかたちを示しつつあるいま、その手腕が問われているように思います。
 

Photo by HIROTO TANIYAMA(撮影:谷山央人)


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◎後藤勝(ごとう・まさる)
東京都出身のライター兼編集者。FC東京を中心に日本サッカーの現在を追う。サカつくとリアルサッカーの雑誌だった『サッカルチョ』そして半田雄一さん編集長時代の『サッカー批評』でサッカーライターとしてのキャリアを始め、現在はさまざまな媒体に寄稿。著書に、2004年までのFC東京をファンと記者双方の視点で追った観戦記ルポ『トーキョーワッショイ!プレミアム』(双葉社)、佐川急便東京SCなどの東京社会人サッカー的なホームタウン分割を意識した近未来SFエンタテインメント小説『エンダーズ・デッドリードライヴ』(カンゼン)がある。2011年にメールマガジンとして『トーキョーワッショイ!MM』を開始したのち、2012年秋にタグマへ移行し『トーキョーワッショイ!プレミアム』に装いをあらためウェブマガジンとして再スタートを切った。

 

■J論でのインタビュー
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