FC東京あおぞらサッカースクールにU-18の選手、スタッフが参加【ミッドウイークワッショイ】
3月27日、知的障碍を持つ子どもたちを対象とする「FC東京あおぞらサッカースクール」にFC東京U-18が参加した。同スクールは2014年の10月に開始。以後毎週火曜日、年39回開催されているもので、この日はイベントとして特別にアカデミーが加わったもの。U-18は昨年も一度参加している。
ドイツ遠征中のメンバーを除き、選手からは木村誠二やバングーナガンデ佳史扶、スタッフからは右田聡コーチや中村忠コーチなど国内組が参加。子どもたちとともにからだを動かした。
まずは“アイスブレイク”のために、ハイタッチなど、レクリエーション要素が強く誰もが実践できる容易なメニューで心身をほぐし、打ち解ける。賑やかな空気が漂うと、その後はパス、シュート練習やゲームなど専門的なトレーニングに移行。テンポよく目先を変えつつかなりの運動量を担保する濃厚なメニューに参加者は熱中し、瞬く間に1時間半が過ぎた。
サッカーを十分に堪能した子どもたちを送り出したあと、全体の指導に当たった普及部の鯨井健太コーチ兼グラスルーツコーディネーターが取材に応じ、子どもたちをスムーズに集中させたメニューの構成について次のように語った。
「幼稚園生から20歳を超える方までいろんな世代が来ていて、かつユースのメンバー、コーチと同じくくりで何ができるのか。まず他人とふれあうということが大事だと思うので、手をつなぐなどして強調、その後“じゃあ、ボールを使ってみよう”と。サッカーが苦手な子も自然と入れるように、容易なところから少しずつステップアップしていくようにしましたが、そうすることでドリブルやパス、シュートは自然と生まれるのかなと思っています」
少ない人数の集団の外では他者とかかわることが難しい昨今、アカデミーの選手たちに交流を持たせたいという狙いもあった。鯨井コーチは開始前、U-18の選手たちに「君たちのほうが巧いが、君たちよりもサッカーを好きな子どもたちが来るよ」と、言い含めた。スクール生に刺激を与えると同時に、アカデミー育ちの選手にも他者とかかわることでなんらかの気づきを得て人間形成の一助としてほしいという願いをこの日のイベントにこめた。
二日前、J3第4節のメンバーに入ったふたりも取材に応えた。
コーチからは「J3の試合に出ている」と、あこがれの対象としてプロ並みの扱いをされたことを受けて木村は「いっしょにやって、体格の差は感じてもらえたと思う」と、専門のアスリートとして普及の場に貢献した感触を述べた。
いっぽう佳史扶は「ふだんからFC東京を応援してくれているひとたちに、こういうかたちで感謝の気持ちを伝えることができた。ふれあいを経てこれからも応援してもらうために、こういう機会は大切だなと思いました」と言い、東京に所属する一員として務めを果たしたという面持ちだった。また、この日のイベント参加も含め、多くのことがあった高校一年生の日々を振り返って「ことし一年、国体出場やJ3のメンバー入りなど、ふつうの高校一年生ではなかなかできないいろいろな経験をさせてもらった。結果を出さないといけない。次の一年が勝負の年になると思います」とも。決意を新たにするきっかけともなったのかもしれない。
子どもたちの輪にいかに溶け込むかが重要だったが「子どもはもともと好きなので、いっしょに動けて楽しかった」と、あっけらかんと語る木村に対し、佳史扶は「気を遣いました。子どもは好きなんですけど(コミュニケーションが)あまり巧くない」と、やや苦笑い。それでも「子どもたちは弟と似ていてかわいいなと思いました」と、ふれあいを堪能していた。
木村が「プロになったとき、この経験を思い出したい」と言うように、将来トップで活躍することになれば、ふつうの人々の気持ちをくみ取るうえでこの日の経験は役に立つはず。裾野の愛好者と頂点をめざす若者とが交わる貴重な機会となったようだ。
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◆書評
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「近未来の東京を舞台にしたサッカー小説・・・ですが、かなり意欲的なSF作品としても鑑賞に耐える作品です」
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「クラブ経営から監督目線の戦術論、ピッチレベルで起こる試合の描写までフットボールの醍醐味を余すことなく盛り込んだ近未来フットボール・フィクション。サイドストーリーとしての群青叶の恋の展開もお楽しみ」
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