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プロ意識に富んだ嶺岸光と小田原貴を擁し、したたかに勝利を狙うセレス ネグロス【ACLプレーオフ前日会見&囲み/無料公開】

 

リスト・ヴィダコヴィッチ監督。


小田原貴。


 ACLプレーオフを翌日に控えた本日1月27日、味の素スタジアムでFC東京とセレス ネグロスがそれぞれ1時間の前日練習をおこなった。公開されたのは冒頭の15分間。
 公式記者会見には、東京からは長谷川健太監督と東慶悟、セレス ネグロスからはリスト ヴィダコヴィッチ監督と小田原貴が出席した。
 
◆長谷川健太監督は警戒
 
 リスト ヴィダコヴィッチ監督は「タイのチームを倒し、FC東京と対戦できるチケットを手に入れたことを大変誇りに思っています」と、この一戦に臨むにあたっての高揚を語った。小田原はそれを受けて「タイのポートFCは非常に強豪だったんですけれども、チーム全体でしっかりとやることを90分間やりきってこの場に進めたことを非常にうれしく思っています」と述べたあと、さらに重要な言葉を口にした。
「みなさんはFC東京が勝つだろうと予想していると思うんですけど、自分たちもしっかり準備はしてきたので、明日の試合で自分たちのやりたいことが出せればと思っています」
 
 油断大敵。ポートFCを撃破して進んできた彼らが、試合が始まる前から勝負を諦めるはずがない。長谷川健太監督はセレス ネグロスを警戒した。
「彼らは非常にモチベーションが高いと思います。一回、ガンバ大阪時代にプレーオフでマレーシアのチャンピオンチームとやりましたけど、Jリーグのチームと対戦できる、と(士気が高かった)。日本の、この味の素スタジアムで戦えるというだけで高いモチベーションがある。ましてや、公式戦を2試合勝ってこの試合に進んできていますので、そういう意味では“一発やってやろう”という非常に強い意気込みがあると思います。そういう気持ちの部分で負けないということ。東南アジアには身体能力の高い“こんなにすごい選手がいるんだ”ということも、やってみなければわからない部分がある。フィリピン籍の選手だから自分たちよりも下だろうと思ってやってしまうと足許をすくわれる可能性は十分ある。そのように、アジアのレベルが上がってきているんだよという部分と、一発勝負で何をしてくるかがわからないので、相手がどういうモチベーション、かたち、システム、戦い方をしてきても、しっかりと自分たちの戦い方を一試合通してできるかどうかが非常に大事なのかなと思っています」
 東京は受けて立つ立場ではない。セレス ネグロスに勝ち、ACL本戦の出場権をもぎ取らなければいけない立場なのだ。雨か雪が予想される極寒の味スタに不用意な気持ちで臨もうものなら、手に入るものも手に入らない。
 
◆ふたりの日本出身プレーヤー
 
 嶺岸光は仙台大学を卒業後、地元のクラブである仙台スポーツシューレで子どもたちを相手に7カ月間コーチをしていた。ある日の食事会で、アジア進出のパイオニアともいうべき伊藤壇、そして母親がフィリピン人の大友慧、ふたりの元ベガルタ戦士と出会った嶺岸は、大友とともにフィリピンへと渡りプロになった。
「ハローワークに通ったりもしました」
 コーチと言っても収入には乏しく、プロになることを諦めて働こうと思ってもいたが、これが転機になった。トライアウト期間にあたるカップ戦、最初の試合で決勝点を奪うなどして強い印象を残した嶺岸は大会終了後、グローバルFCと契約。以後、東南アジアを戦場に戦ってきた。フィリピンの上位チームは決して弱くはないと嶺岸は言う。それでいて「Jのチームを相手に日本でやるとなると、かなりのリスペクトはしないといけない」と、彼我の差を冷静に分析してもいる。
「アジアで一番のリーグという、監督もそういう認識です」(嶺岸)
 守備を整えて戦術的に戦い、チャンスを待つという戦い方になるかもしれないという。彼らは東京に勝つため、真剣に道筋を探っている。
 
 府ロクやトリプレッタといった東京都のクラブチームで育ち、小学校1年生のときから家族でFC東京のホームゲームをすべて観てきたという小田原には、この地に味方がたくさんいる。28日のACLプレーオフには家族、親戚、そして友人も大勢来る。
「味スタはもっと広いと思っていたけど、コンパクトなつくりですっきりしている」
 かつての小学生もいまは27歳。フィリピンへ、そしてプロの世界に飛び出した小田原にとっては、味スタはもはや決して大きすぎる箱ではない。
「FC東京がどのくらいのクラブか十分承知していますし、レベルの差があることも当然認めるので、そこに大きなモチベーションはなく、いつもどおりおこなわれる試合がそこにあり、いつもどおりの、自分としてはふつうの準備をしていきます」(小田原)
 プロ選手としてやるべきことをやる。その先に何が待っているのか。まだ東京が勝つと決まったわけではない。
 
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『青赤20倍!トーキョーたっぷり蹴球マガジン』は、長年FC東京の取材を継続しているフリーライター後藤勝が編集し、FC東京を中心としたサッカーの「いま」をお伝えするウェブマガジンです。コロナ禍にあっても他媒体とはひと味ちがう質と量を追い求め、情報をお届けします。

 

 

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◎後藤勝(ごとう・まさる)
東京都出身のライター兼編集者。FC東京を中心に日本サッカーの現在を追う。サカつくとリアルサッカーの雑誌だった『サッカルチョ』そして半田雄一さん編集長時代の『サッカー批評』でサッカーライターとしてのキャリアを始め、現在はさまざまな媒体に寄稿。著書に、2004年までのFC東京をファンと記者双方の視点で追った観戦記ルポ『トーキョーワッショイ!プレミアム』(双葉社)、佐川急便東京SCなどの東京社会人サッカー的なホームタウン分割を意識した近未来SFエンタテインメント小説『エンダーズ・デッドリードライヴ』(カンゼン)がある。2011年にメールマガジンとして『トーキョーワッショイ!MM』を開始したのち、2012年秋にタグマへ移行し『トーキョーワッショイ!プレミアム』に装いをあらためウェブマガジンとして再スタートを切った。

 

■J論でのインタビュー
「ライターと編集者。”二足の草鞋”を履くことになった動機とは?」後藤勝/前編【オレたちのライター道】

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