【無料記事】「自分がチームを鼓舞して失点を抑える」廣末陸、西が丘のJ3第8節に先発出場へ!前を守る山田将之は「お互い、いいところを出し合って無失点に」(2017/05/12)
プロデビュー戦で完封勝利を果たしたこの男が、再び西が丘のピッチに帰ってくる!
あす5月13日、味の素フィールド西が丘で開催されるJ3第8節「FC東京U-23vs.栃木SC」で、高卒ルーキーの廣末陸がゴールマウスを守る可能性が高いことがあきらかになった。
廣末は「結果を残すだけ。いい準備ができているので、あしたピッチでいいプレーができれば」と、士気を高めている。
J3初出場となった第3節SC相模原戦では完封で今シーズン初勝利を引き寄せた。必ず結果を残すその類まれな力は、知性に裏打ちされたものでもある。
現在3位の栃木は、ここまでの得点の半分以上をセットプレーで稼ぎ、失点を低く抑えてきた、いわばしたたかさを持つおとなのチーム。相模原よりも強力な敵だ。そのことを、廣末はよく理解していた。
「栃木SCは昨年、2位という結果を残し、あと一歩のところでJ2昇格を逃した、それほどに力のあるチームです。その相手のしたたかさに自分たちが対応できるか、逆にしたたかさを出していけるか、そういうゲームになると思います。一本一本気を抜かず、自分がチームを鼓舞して失点を抑えられればいい」
あしたはFC東京U-18の選手が多く、いつもよりも最後尾のリーダーシップを問われる試合ではないか──と問うと、「それは関係ない」と廣末は明言した。
「出場停止がふたりいますけど、特に関係ないと思っています。やることは変わらないですし、先輩がいるからといって鼓舞しないでいいということもないですから、いつもどおりのプレーができればいいかな、と。言い訳にもできないので。できることをやるだけ、という感じですね」
もちろんJ3がゴールではない。見据えているのはトップチームの水準だ。
「(個人としては)もちろんJ1で試合に出場することを目標にしています。いまは結果を残すことを最優先にやっていきたい」
まだトップチームで試合に出た経験はなく、年代別代表からもいっとき離れる恰好になっているが、廣末は己の力に確信を抱いている。その源は自身の裡(うち)にもあるが、やはりジョアン ミレッGKコーチの尽力も影響している。
「(ジョアン ミレッGKコーチの指導を受けた結果)いままでよりもワンプレーワンプレーに対して考えるようになりました。失点をすることは練習でたくさんありますけど、なぜ失点したのかを考えることでその失点がむだにはならないですし、同じ失敗を繰り返さないという意味でも少しずつステップアップできているのかなと思っています」
練習の手応えがあるので表面的な結果には惑わされないのか? と訊ねると「練習ではそうですね」と廣末は答えた。
「試合では結果がいちばん大事なのでそこに対してこだわりますけど、練習のなかでもこだわりつつ、そこだけになるとキーパーとしてのスキルが積み上がっていかないと思っているので、いろんなことに練習でチャレンジをしながら、その反省を活かして試合でどうプレーできるかというサイクルがいまできていて、非常に充実している。けっこうな手応えを感じています」
その成果を表現するためにも、あすの試合には絶対に勝つつもりだ。
「もちろん勝つことが仕事ですし、今節もまたホームゲーム。多くの方に応援してもらっているので、しっかり結果で恩返しをしないといけないと思っています。勝ちは大前提で、試合に臨みます」
廣末の前でセンターバックを務める山田将之は、廣末の能力に太鼓判を押しつつ、互いの力を出し合っていきたいと、若き守護神を気遣った。
「廣末選手もよく喋るというか、ふだんからよくコミュニケーションをとっている。ふだんと変わらずできると思う。彼の特長でもあるビルドアップ能力によってまたちがった試合ができると思うので、いい方向にコミュニケーションをとってやっていきたいと思います。まずはぼくたち(ディフェンダー)がしっかりシュートを撃たせないという守備をしないといけないですけど、シュートストップの力があり身体能力が高い選手なので、チームを救ってくれるようなセーブがあると思う。お互いいいところを出し合って、無失点で抑えられればいいかなと思います」
ふたりとも、ひとりで広い範囲を守れる選手同士だ。いざとなればこのふたりだけでラインのウラを守りきれるだけの自信を、彼らは持っている。山田はつづけた。
「ひとりで守れることが求められる世界ですし、連携で守ることも必要ですけれども、ひとりでシュートを止めることができたり、対人でボールを獲りきることができたりすれば評価につながる。お互いがいいところを出し合って結果的に無失点で終え、なおかつ勝てればそれぞれの評価につながると思うので、まずはいい準備をして自分たちの最大限の力を出せるようにがんばっていきたい」
クラブでの活躍にかける廣末に、山田は「こうやってJ3でまたチャンスがあるので、彼自身がそこをしっかり切り換えて、なおかつぼくたちが盛り上げる声をかけられれば、いい方向に進むと思います。ポジティヴな雰囲気に持っていきたい」と、熱い友情に充ちたまなざしを向ける。そしてこの最後尾を守るコンビで、雪辱を果たしたいと願っている。
「(前節は)ゴールデンウイークということもありたくさんサポーターが来てくれたなかで、あのように退場者を出してしまった。審判がどうこう言われていますけれども、ぼくがキャプテンとしてチームをコントロールできなかったことがああいう方向につながってしまったと思う。そこはいままでになかった経験なので、プラスに捉えて。前節に退場して今回の試合に出場できない選手がいますけれども、それでも勝てるくらいの雰囲気をつくりモチベーションを高めていかないといけない。まずはぼくが率先してやっていきたい」
山田は「ユースにぼくたちがオーバーエイジ(OA)で入るような」と、あすのメンバーを予見した。そこで何ができるかを求められていると、責任の重さを痛感もしている。出場停止や代表招集でいつもよりも選手層が薄い緊急事態だが、かえって結束が強まるかもしれない。廣末と山田をはじめとして、西が丘に集う若い力に期待したい。