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【ショートレビュー/マッチレポート】2013 Jリーグディビジョン1 第22節 ジュビロ磐田対FC東京_第1報(08/24)[3,072文字](2013/08/24)

◆ショートレビュー

 

アイドリング!!!の『サマーライオン』を用いた新チャントが、長い時間重奏低音のようにFC東京のリズムを支えたアウエーでの対ジュビロ磐田戦はスコアレスドローに終わった。
ランコ ポポヴィッチ監督は「(いつも言っている)獲れないなら獲らせない」ということは言いましたと、記者会見終了後の囲み取材で述べた。アウエーでの0-0。内容に納得のいかないところがあっても、この引き分けで得た勝点1で9位から8位に浮上したことを考えれば──得失点差、ここまでに積み重ねた得点がものを言った──、結果には相応の価値がある。日本の場合、欧州のようにアウエーの環境が心理的物理的プレッシャーにならないとは言うものの、ホームよりやりやすいと決まっているわけでもない。苦しんだ試合でも最低限の結果は得たと考えたいところだ。
ボールホルダーに対してプレッシャーに行く。守備側がボールを獲れなかった場合にカバーリングがなければ穴が空いて攻め込まれてしまうが、プレッシャーをかける→カバーの動きを繰り返していれば理論的には穴は開かず失点しない。プレッシングとカバーリングの動きはセットで、守備側がこのボール狩りを繰り返していくと、出しどころがなくなった攻撃側はプレッシャーに耐えかねてボールを下げる。そこで守備側はラインを上げる──これがプレッシングサッカーの基本(それこそ佐川急便東京SCやHonda FCもJクラブの攻撃を封じ込めるために採用していた)であり、FC東京が狙っていた守備だった。しかしボールホルダーにプレッシャーがかからず、ラインを上げられないところから、思うような守備ができなくなってしまった。するとボールを奪う位置が低くなり、攻撃に要する距離が長くなる。前半45分間はこの調子で、東京はペースを握ることができなかった。
ランコ ポポヴィッチ監督はトップにボールが収まらないことから後半の頭に平山相太の投入も考えていたし、後半のどこかで三田啓貴を送り込む案もあったが、チャン ヒョンスの負傷交替でプランがくるった。石川直宏が90分間保たない(案の定、足がつった)ことも予想できていたので、それ以外に使えるカードは一枚だけ。慎重になるケースだが、ベンチは逐次フレッシュな戦力を投入して、後半に握ったペースを落とさない。得点はできなかったがゲームをある程度コントロールして勝点1を獲得した。後半は渡邉千真にボールが収まり、平山を投入しなかったことのリスクも生じなかったのは、運がよかったのかもしれない。
大分トリニータやヴァンフォーレ甲府には得点を重ねて勝てるが、川崎フロンターレ、横浜F・マリノス、ジュビロ磐田には苦戦する。上位から勝利を得られない。課題は明白だと思う。連戦で修正に使える時間はそう多くはないが、次節は連勝して勢いにのるサガン鳥栖が相手。パワー負けしないよう、しっかりと準備をしてほしい。

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