「ザ・ヨコハマ・エクスプレス」藤井雅彦責任編集:ヨコハマ・フットボール・マガジン

無得点に終わった攻撃面に可能性はなかったのか。 答えは否。 逆転への道筋も見えている。[ACL準決(1) 蔚山戦レビュー]

 

たしかにノーチャンスではなかった

 

最小限は最低限の結果と言っていい。

最高形はアウェイでも勝つこと。準々決勝の山東泰山戦でそれを実現したように、苦しみながらでも、失点したとしても、第1戦を勝利してホームでの第2戦を迎えられるアドバンテージは大きい。精神的余裕がまるで違う。風上に立った状態で後半90分をスタートできる。

 

 

最小限であり最低限と表現したのは、1失点で抑えたこと。同じ黒星でも2点差、3点差ではダメージがまるで違う。0-1での負けならば、スコアに関係なく次の試合に勝った時点で延長戦以上が確定する。アウェイゴールルールが廃止された今、仮に次の試合で失点しても2得点で延長に持ち込める。

ポープ・ウィリアムを筆頭に、守備陣の踏ん張りには目を見張るものがあった。失点場面こそ全体的にボールウォッチャーになってしまった感があるものの、それ以外はピンチの場面でも懸命に体を投げ出してシュートコースを制限、あるいはシューターに圧力をかけていた。

 

 

 

 

その粘りによって67分の被決定機はポストに助けられ、直後にはポープのファインセーブ&右ポストがマリノスを救う。つづく72分にはゴール目前からのヘディングシュートを、再びポープがビッグセーブ。この3つはいずれも失点していても不思議ではなく、次戦に望みをつなぐ最少失点で試合を終えた。

ポープのコメントは相変わらずだった。今季から加入した背番号1は勝利した試合でも失点にフォーカスする。

「失点の部分は僕個人の責任というか、防げた失点だったと思う。あのあといくら止めても返ってこないというか、その重みは自分でも分かっている。GKをやっている以上、止めたところよりも失点の部分を考えてしまう。あそこ1本を防いでいれば、そのあとのピンチもなかったと思うし、チームが余裕を持ってプレーできたと思う。そこは個人の責任なので、もっと突き詰めてやらないといけないなと思う結果として負けてしまったので、そこは自分の責任なのでまだまだ足りないところ」

 

 

 

映像で見返しても、たしかにノーチャンスではなかった。ストップできる可能性のあるシュートだった。そんな自覚があるからこそ、本人は後半のファインセーブに興味がない。

飽くなき向上心がポープ・ウィリアムのパフォーマンスに磨きをかけていく。

 

 

 

 

マリノスが上回っている部分を確認できた前半90分

 

無得点に終わった攻撃面に可能性はなかったのか。

答えは否。

 

ヨコエク

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