「日々自分の最大限を出し続けることが先につながる。20歳になったからといっていきなり背伸びをしようとは思わない。自分が築いてきたサイクルを続けて、絶対に崩したくない」[山根陸インタビュー(中編)]
【山根陸選手インタビュー(中編)】
実施日:8月31日(木)
インタビュー・文:藤井 雅彦
→前編からつづく
喜田拓也と渡辺皓太。
山根陸の眼前に立ちはだかる高く、険しい両壁だ。
コンスタントにリーグ戦出場を続けるふたりに追いつき、追い越すために、何をすべきなのか。
ライバルとなる彼らをどのような存在として見ているのか、余すことなく語ってくれた。
ポジション奪取は簡単ではない。
難しいからこそ、価値がある。
スケールの大きなボランチを目指し、プロ2年目も歩みを止めない。
3番手だから「これくらいでいいか」とは考えていませんし、ふたりに少しでも食い込んでいきたいという思いは根底にあります
――今季はリーグ戦のほとんどで喜田拓也選手と渡辺皓太選手がダブルボランチを組んでいます。同じポジションの選手として、彼らのパフォーマンスはどのように見えていますか?
「年齢もキャリアも下の僕が言うのはおこがましいですが、ものすごくレベルアップしていると思います。それはプレータイムや目に見える数字にも表れていますし、ふたりが中心になってF・マリノスというチームが回っているのは間違いありません。細かいプレーや局面を見てもレベルが高いので、ベンチから試合を見ていて「今のプレーは自分にできるかな?」と考えさせられるシーンが増えています」
――トレーニングで対峙する場面もあると思います。
「紅白戦でマッチアップする時には、やられたと感じるシーンはそれほどありません。でも、対個人というよりもチームがどういう状態か、が重要だと思っています。ボランチとして、良いコントロールをできるか、良い前進ができているか、それからバランスを取れているか。自チームにどれだけ良い影響を与えられるかがボランチの役割です。対峙して学ぶこともたくさんありますが、その中で自分のプレーを出せた時は成功体験として自信になります」
――喜田選手と渡辺選手の相性は素晴らしく、まさしくチームの中心といったプレーを続けています。
「特に今のスタイルはタイミングやほんの少しの動きでその後の展開が大きく変わってくるので、ふたりの相性は本当に素晴らしいと思います。そういった部分は公式戦にならないと伝わりにくい部分もあるのが正直なところで、紅白戦とは緊張感や雰囲気も違う。僕はふたりを食っていかなければいけない立場なので、日々のトレーニングから必死に取り組んでいくことだけを考えています」
――出場停止となる累積4枚目の警告を受けないのも彼らのすごさですよね。
「自分自身でわかっている部分でしょうし、不必要なファウルをしないための準備やリスクマネジメントは本当に学ぶところが多いです。でも、連戦が増えてくるとチャンスは必ず来ると思いますし、その時いかに自分が成長した部分を出せるかが大切。そのために準備しておかなければいけないと思います。
去年、自分がデビューした時も(岩田)智輝くんが出場停止で、喜田くんとナベくんは怪我をしていて、ボランチが少なくなっているタイミングで自分にチャンスが巡ってきた。
あの時は一番下の立場だったので何も失うものはないと思って、何も考えずにガムシャラにプレーしました。今は少しだけ立場が違うかもしれないけれど、チャンスの場面で何ができるかの重要性は同じです」
――失礼ながら『3番手』という立ち位置やその表現をどのように感じますか?
「サッカー選手として1番手でいたいのはみんな同じだと思います。現状はその表現が正しいというのも理解しています。
ただ、そこに不満やストレスを抱えながらと日々を過ごしているわけではありません。そればかりを考えてネガティブな感情になり、自分がやるべきことを見失ってはいけない。
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