急きょセンターバックとして先発した喜田拓也。 後世まで語り継がれるべきハイパフォーマンスだった [ルヴァン杯準々決勝2nd 札幌戦レビュー]
2回の『VAR判定→ゴール取り消し』もなんのその
アタッキングフットボールが華麗に復活した。
号砲となったのは水沼宏太の“幻のゴール”だ。試合開始から間もない3分、ショートカウンターで相手ディフェンスラインの背後に抜け出した水沼が、GKの位置を見極めて冷静に右足で流し込んだ。アシストしたのはボランチで先発した吉尾海夏。これ以上ないキャスティングによって決まった得点は、しかしVAR判定の末にオフサイドとなって取り消しに。
それでもマリノスを勢いづかせるには十分だった。
「オフサイドになったけど、点が入ってスタジアムの雰囲気がこっちに来た感じがあった。そういった意味ではオフサイドだったけど良かったと思うし、みんなに勢いが出るきっかけになったと思う。入らなかったけど入ってよかった(笑)」
ニッパツ三ツ沢球技場が演出するホームの雰囲気はこれ以上ない後押しに。吉尾は「VARでの取り消しはもちろんショックもあったけど、やるしかない。そこまでいけているのは事実としてあったし、いい感触もあった」と前向きさを失わなかった。
32分、今度こそ正真正銘の先制点が決まる。水沼が吉尾とのワンツーで打開し、狭いエリアから左足を振り抜く。ゴールネットが揺れた。
前半終了間際には再びVAR判定で得点が取り消される難しさに直面するも、2点差以上の勝利で勝ち上がりを決められるマリノスは後半に入って、さらにギアを上げる。48分、水沼の折り返しをアンデルソン・ロペスが決めると、つづく50分にはナム・テヒがマリノス加入後初ゴールを叩き込む。
一気呵成の3-0。その後、追加点こそ奪えなかったがチームとして4点目、5点目を狙い続ける。その姿勢こそがアタッキングフットボールの真髄だ。
「自分たちのサッカーを貫き通す意味でも3点目、4点目、5点目を狙わないといけない。最近は不甲斐ないゲームばかりで申し訳ないと思っていたので、来てくれてお客さんに楽しんで帰ってもらうためにも、最高の雰囲気だったのでもっと点を取ることができれば、またマリノスの試合に期待と思ってもらえる。そういった意味でもゴールを狙うのは大事」
会心の勝利に、水沼は胸を張った。
「心のこもった勝利で、我々が何なのかを示せた」(エドゥアルド)
終わってみればマリノスの良さばかりが目立つゲームでも、決して簡単に勝利できたわけではない。
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