「( 南葛SCから)オファーが来たら匠くんに連絡すればいいですか?(笑)」(喜田) 「ハンコ預けてくれればオレが押しておくから」 (下平) [匠の視点 special 喜田拓也×下平匠(南葛SC)(3)]
構成:藤井 雅彦
OBの下平匠氏が横浜F・マリノスについて語り尽くす『匠の視点』。
喜田拓也に訊く10のコトも、後半戦のvol.3へ。
オンライン対談で“10年後の自分”のワンテーマを語り尽くす。
喜田のトップチーム昇格は2013年、下平のマリノス加入が2014年。
ほぼ同時期をプロ選手として過ごしたふたりは、それぞれをどのように見ていたのか。
約10年前は想像できない状況になっている現在を踏まえ、未来を想像していく。
そして今回、対談後に実現した食事会の様子が写真で届いたので、そちらもご覧あれ。
→前回からつづく
(Q.6)10年後の自分は想像できる?
下平匠(以下、下平)
「キーボーはいま28歳だけど、例えば10年後に38歳になった自分は想像できる?」
喜田拓也(以下、喜田)
「これは×です」
下平
「じゃあ反対に10年前、18歳でマリノスのトップチームに昇格した時に、28歳になったいまの自分を想像できた?」
喜田
「それもまったく想像できませんでした。とにかく目の前のことにガムシャラに取り組んでいました。匠くんと出会ったのがちょうど10年前くらいですね」
下平
「そうそう、キーボーがプロ2年目の時にオレがマリノスに移籍加入したんやな」
喜田
「何もできない自分を知っているのが匠くんだと思うんです。あの時は10年後こうしてF・マリノスでプレーできているなんて想像もしていなかったですし」
下平
「プロに入った時の目標はあったんやっけ?」
喜田
「もともと遠い目標はあまり設定しないタイプでしたし、当時もF・マリノスというクラブに貢献したいという思いは強く持っていましたけど、プロ1~2年目はほとんど試合に出ていない状況でした。とにかく目の前のことを全力で、丁寧にやっていこうと」
下平
「試合に絡むようになったのがプロ3年目だったと思う。それまでは本当に苦しかったんじゃない?」
喜田
「傍から見たら『最悪のスタート』と言われても仕方ないくらいだったと思います。でも自分はF・マリノスに貢献することしか考えていなくて、認めてもらわないと納得できませんでした。その気持ちの強さだけは揺るがないものを持っていました」
下平
「本当によくここまで成長したよなぁ。あんなにイジられていたキーボーがキャプテンとして2度もリーグ優勝に導いているんだから」
喜田
「先輩方をはじめとするいろいろな人が面倒を見てくれて、それに対する感謝の気持ちがありました。それを表現するためには、試合に出場して、プレーすることしかない。そうすることで教わったことを正解にしたかったんです」
下平
「じゃあ試合に出られない時期に愚痴や弱音を吐いたりした?」
喜田
「自分に力がないのは分かっていたので、愚痴や弱音ではなく力をつけなければいけないと思っていました。そもそも苦しい経験とは今でも思っていなくて、こうしてF・マリノスの選手として日々過ごさせてもらっているなかで、あの時期の経験はすごく生きています。結果としては何もできなかったかもしれませんが、あの日々も楽しかったです。錚々たる先輩たちがいて、そこでプロキャリアをスタートできたこともそうですし、いろいろな話を聞かせてもらって、それを自分の血肉に変えるという作業は本当に充実していました」
下平
「1~2年目の時期、ほかのチームなら試合に出られたかもしれない。移籍という選択肢を考えたことは?」
喜田
「ないですね。そういう類の話をいただいたこともありました。でも自分のなかでF・マリノスに貢献したいという気持ちは揺るがなかったですし、確固たるものがありました。チームから必要とされないと話にならないけれど、あの時は移籍という選択肢はまったく考えませんでした」
下平
「それは国内クラブからのオファー? あと試合に出場するようになってから海外クラブからオファーをもらったりしたことは?」
喜田
「これは匠くんじゃなかったら言えないですけど、どちらもありました」
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