「ザ・ヨコハマ・エクスプレス」藤井雅彦責任編集:ヨコハマ・フットボール・マガジン

「今年のマリノスは本当に強かった!!」(下平) 「全員で手を取り合って力強く歩けた証がリーグタイトル。匠くんに強かったと言ってもらえるのは、とても誇らしいです」[匠の視点 Special Session -喜田×下平 (1)]

構成:藤井 雅彦

 

 

OBの下平匠氏が横浜F・マリノスについて語り尽くす『匠の視点』。

今年2月から定期的にコラムを寄稿し、今回はオフシーズンの特別企画として喜田拓也選手とのスペシャルセッションがオンライン上で実現した。

 

 

元チームメイトであり先輩と後輩の間柄でもあるふたりは、いったいどのようなぶっちゃけトークを繰り広げたのか。

下平は喜田の背番号にちなんで“8つの質問”を用意。

全4回に分けてお届けする予定の第1回テーマは、優勝を掴み取った2022シーズンの振り返りだ。

下平が放つ関西人ならではの鋭いツッコミに、冷静沈着な喜田も大慌て!?

 

 

 

(下平)

「喜田選手、オンラインで失礼します!! 今日はよろしくお願いします!!」

(喜田)

「匠くん、ご無沙汰しています。こういった形での対談は不思議な感じがします」

 

(下平)

「そうやな。オレがキーボーに敬語使うなんて、いまだかつてないよな。早くも呼び方がキーボーになったけど(笑)」

(喜田)

「ソワソワしかしないです(笑)」

 

 

 

(下平)

「あとで怖いLINEとか送らんといてな!!」

(喜田)

「それは僕からもお願いします(笑)」

 

(下平)

「まず今日のルール説明をしておくと、8つの質問に対しての答えに△はなしね。〇か×で答えてください」

(喜田)

「△はなし!?」

 

(下平)

「今日は余所行きのキーボーを求めていないから」

(喜田)

「怖いなぁ(笑)」

 

 

 

(下平)

「現役選手とOBの対談って、今まであんまりなかった企画らしいよ。だからキーボーが面白くしてくれたら第2回、第3回があると思うから、よろしくな!!」

(喜田)

「めちゃくちゃプレッシャーじゃないですか(笑)」

 

 

 

(Q.1)2022シーズンの横浜F・マリノスは強かった?

 

(下平)

「1問目は直球やね」

(喜田)

「〇です」

 

 

(下平)

「文句なしの回答をありがとう。今年のマリノスは本当に強かった!!」

(喜田)

「ありがとうございます。優勝という結果で証明できたこともすごく大きいですけど、それに値するパフォーマンスを示せたことにも価値があると思っています。振り返ってみるといろいろな時期がありました。タフな日程と向き合い、ケガやコロナ陽性に苦しめられ、思うように結果を出せない時期もありました。それでも全員で手を取り合って力強く歩けた証がリーグタイトルだと思います。こうして匠くんに強かったと言ってもらえるのも光栄ですし、とても誇らしいです」

 

(下平)

「今シーズンの試合はかなり見たよ。マリノスのゲームはいつもシンプルに面白かったし、見ていて飽きないからすごい」

(喜田)

「本当にうれしい言葉です。もちろんプレーしている僕らも楽しいですし、見ている側にそう思ってもらえたら、もう言葉がないです」

 

(下平)

「でも長いシーズンだから本当にいろいろなことがあったと思う。振り返ってみて苦労した時期はあったの?」

(喜田)

「周りからの見え方としてはやっぱり8月になるのかもしれません。Jリーグと並行してACLやルヴァンカップも戦うなかで、タイトルを落として公式戦で4連敗しました。それまである程度勝ち続けてきたので『マリノス、大丈夫か?』という言われ方もしましたけど、当事者である自分たちが動じる必要はないと思っていました。傍から見ると苦しく見えたかもしれないし、もちろん人間なので自信をなくしてもおかしくなかったですけど、そういった時のマネジメントや道筋はキャプテンの自分がしっかり示さないといけないと強く思っていました」

 

 

 

(下平)

「そうなるとターニングポイントの試合もそのあたりなのかな? 見ている側の印象としては、勝てない時期でもチームがバラバラになることはなかったと思うし、常に一体感のあるチームだった」

(喜田)

「匠くんもよく知っているでしょうけど、リーグ戦は年間を通しての戦いだからいろいろな試合があって、ターニングポイントを1つの試合に絞るのは難しいです。例えば、リードされていて試合終了間際に追いつく試合もあれば、川崎フロンターレ戦のように最後の最後に失点して負けてしまう試合もありました。でも負けてしまった試合で反骨心が芽生えることもありますし、どのように受け止めて次へ進むかが大事ですよね」

 

(下平)

「SNSでのやり取りなんかを見ていると、選手たちがすごく仲良しだよね。でも、あれだけ強度の高いサッカーができるのは絶対に練習で厳しくやっているからやと思う」

(喜田)

「そのとおりです。チームのために頑張れる選手ばかりで、試合に出られない時に練習で手を抜く選手はひとりもいません。やらない選手は逆に浮いちゃうくらいの空気感があります」

 

 

 

(下平)

「それは強いな。マスカット監督はどんな声掛けをするの? ボス(アンジェ・ポステコグルー監督)はそういうタイプではなかったと思うけど」

(喜田)

「ケヴィンはボスよりも選手とコミュニケーションを取ります。他愛もない話もしますし、フランクに選手の意見も吸い上げながらやるタイプです。でも最後の結論のところは、監督が責任を持ってやってくれますし、マネジメントのところは気を遣ってくれているなと感じます」

 

 

 

(下平)

「連戦の時はターンオーバーも大胆にやるよね?」

(喜田)

「日頃から『全員を信じている』と言ってくれていて、それを実際に表現してくれているマネジメントだと思います。しっかり舵取りしてくれる監督です」

 

(下平)

「キーボー自身の話をすると、今年は珍しくちょっと大きめのケガがあったと思う。たしか内転筋の肉離れだったと思うけど、気持ちの面でもショックだったんじゃない?」※5月25日の京都サンガF.C.戦で右股関節内転筋肉離れ(全治8週見込み)

(喜田)

「捉え方次第ですけど、ショックはあまりなかったです」

 

 

 

(下平)

「日頃からしっかりメンテナンスしているタイプだと思う。ある程度長い期間チームを離れるのにショックはなかったんだ?」

(喜田)

「ケガそのものは悔しいですし、情けない気持ちもありました。でも試合に向けて自分ができることや準備段階をすべて100%以上の力で取り組んだうえでのケガでした。だから後悔はありません。重症度や全治期間でいえばこれまで経験したことがなかったので見えない部分はありましたし、治ってからの不安がまったくなかったといえば嘘になりますけど、後悔はなかったのですぐに『復帰に向けてやっていく』という前向きなメンタルになれました」

 

 

 

(下平)

「手術する可能性もあったという噂を聞いたけど、実際のところはどんな状況だったの?」

 

 

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tags: 下平匠 喜田拓也

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