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大観衆の前での敗戦。「決めるべきところで決めていきたい」(三田)【ショートレビュー/マッチレポート】2013 Jリーグディビジョン1 第14節 FC東京対サンフレッチェ広島_第1報(2013/07/06)[3,451文字]

◆ショートレビュー

J1中断期間明け、味の素スタジアムに詰めかけた観衆は27,852人。サンフレッチェ広島のファンを引いたとしても二万人以上の東京ファンが、おもしろい試合をしたうえでの東京の勝利を期待してチケットを買ったことだろうが、結果は上位争いのライバルである広島に勝点3を渡しただけ。ゴール裏から起こったブーイングがこの試合のほとんどをあらわしている。
大観衆の前で東京の魅力をアピールするどころか、逆効果になってしまった。

収穫があるとすれば、三田啓貴が迫力のあるプレーを見せて決定機を演出し、武藤嘉紀がわずかな時間ながら出場を果たしたことだろうか。
ゴール裏のファンも、試合全体としてはブーイングをしなければならないが、応援するべきところはしたい──というジレンマそのままに、東京イレヴンがブーイングに対して頭を下げたあとには、三田コールと武藤コールを送っていた。

ふたりとも中断期間中のアピールが実った恰好だ。
武藤はまったくボールに触っていないが、好調な突破型の選手がメンバー入りを果たしたこと自体に意味がある。
三田はここまでの流れを引き継ぎ、キッカーを務め、サイドで自らシュートを放ち、ディフェンスにも意欲的に奔走し、今季のスタートとはまったくちがうプレーヤー像を示している。傍から観ていても、やる気のオーラが大きく感じられる、気合の入ったパフォーマンスを見せていた。

広島の森崎(※辞書にない「さき」のため当て字)和幸は「あまり前からこなかった」と言っていた。森崎がバックラインの近くまで入ってバランスを保ち、青山が右のやや前からパスを出す、広島の基本型を崩すような新味は、東京のディフェンスにはなかった。
長谷川アーリアジャスールによれば、前からプレッシャーをかけにいく場面と、引いてブロックをつくる場面を使い分けようという意識が東京の選手たちにはあったようだが、引いて受ける時間が多すぎたのではないか。特に前半45分間は広島が優位にゲームを進め、東京がここまで準備してきた激しい守備を見せることができなかったように思う。

東京がブロックで守備を固めている時間帯にサイドからどんどんクロスを入れたことがボディブローのように効いたと思うかと訊ねると森崎は肯定した。
パスワークにしろウラへの飛び出しにしろクロスにしろ、主導権を握ることが広島の校長を後押しする。もっと広島が嫌がることができていれば、結果は変わっていたかもしれない。

すぐに浦和レッズとの試合がやってくる。広島と同じ3バック。スタイルもほとんど同じだ。
三田は「決めるべきところで決めていきたい」と反省の弁を述べた。それ以外にも、選手個々に反省があるだろう。気持ちを切り換え、冷静な状態で課題を修正し、次戦に臨んでもらいたい。

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