「ザ・ヨコハマ・エクスプレス」藤井雅彦責任編集:ヨコハマ・フットボール・マガジン

齋藤のマリノスへの愛は、とてつもなく大きく、そして深い [2nd16節鳥栖戦プレビュー]

 

シーズンの最後の最後までけが人の波が収まらなかった。今週水曜日の練習で、中町公祐が右太もも裏を痛めて戦線離脱した。現時点でクラブから公式発表されていないものの、筋肉系の故障であることは間違いない。以降はグラウンドに姿を見せず治療とリハビリを行っており、明日のサガン鳥栖戦は欠場が決定的。さらには11月3日のリーグ最終節・浦和レッズ戦も難しいだろう。

 中町が離脱したことで、いくつかの選択肢が浮上する。最も計算しやすいのは兵藤慎剛を空いたボランチの席に座らせること。実績や経験、あるいはタイプを大別したときにも問題はない。守備的MFに分類される喜田拓也とパク・ジョンスを並べる可能性は低く、背番号7がボランチに入るかと思われた。

しかし実際の采配は、トップ下で練習していた天野純を3列目に下げた。そしてトップ下に前田直輝を組み込み、右MFにはマルティノス。この布陣で中町離脱後の水曜日と木曜日の練習を行った。ただ、試合前日の金曜日の段階でトップ下に兵藤、右に前田を置く布陣に変わった。少し意図の見えにくい起用法になりそうだが、その狙いは試合の中で明らかとなるだろう。

さて、ここからは話をピッチ外に移す。ここへきてマリノス在籍選手の移籍話が世間をにぎわせている。そう、齋藤学の去就である。獲得に動いているとされるのは川崎フロンターレだが、実際は他のJ1クラブも放ってはおかない人材だろう。すでに各媒体で報じられているように、海外移籍を念頭に置く齋藤の複数年契約は今季限りで切れる。つまり今オフ、契約的には何も縛りなくクラブを選べるのだ。

 

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 最初に主張しておくこと。齋藤が持っている、育成組織時代から所属するマリノスへの愛は、とてつもなく大きく、そして深い。これまで移籍に気持ちが傾いた場面でも、土壇場で残留を選択肢してきた。それは一重にマリノスへの愛が成せる業で、トリコロールにタイトルをもたらすことを第一優先にしてきた証だろう。その思いはリーグ戦タイトルの可能性が消えた現在も変わることなく、来年もマリノスでプレーする可能性は間違いなくある。

一方で、夢の海外移籍を実現させるために26歳という年齢は、もはや若くない。オファーの内容次第ではいよいよ海を渡るタイミングなのかもしれない。クラブは全力で慰留に努めるべきだが、快く送り出してあげるべきという考え方もある。その場合は、齋藤に変わる攻撃の核となる存在を補強することが絶対条件となる。

話が横道に逸れてしまった。では、このタイミングで齋藤がマリノス以外のJクラブを選ぶ可能性が、どれだけあるか。メリットはいったいどこにあるのか。総合的に考えたとき、オファーが事実だったとしてもリアリティは低いのではないか。そんな想像をしてしまう。

まさしく『齋藤さんだぞ?』である。

 

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