加藤聖にはアグレッシブさと失敗を恐れないでチャレンジする勇猛果敢な心がある。 使い続けてほしい選手のひとりだ [J10節 C大阪戦レビュー]
勝ち点2を失った理由
立ち上がりから主体的にボールを動かしてセレッソ大阪を圧倒した。山根陸をアンカーに、天野純とナム・テヒをその前方に配した布陣は、ポゼッションに特化すれば現在のマリノスにおけるファーストセットといっても過言ではない良質な組み合わせだった。
このポジションでは初先発となった山根陸は「ナムさんと(天野)純くんがいるので、より多くボールに触らせられたらとリズムが出ると思っていた。相手がこっちのアンカーのところに誰が出てくるか曖昧だったので(上島)拓巳くんやポープくんから引き出せるシーンはあった」とまずまずの感触で振り返ったように、チーム全体で狙いを共有してアタッキングエリアへ侵入していく。
そんな流れから17分に先制に成功したのは必然だろう。形こそ植中朝日が相手ゴール前でプレッシャーをかけて奪い、エウベルからのラストパスを水沼宏太が頭で決めるシンプルな形だったが、良い守備と良い攻撃が連動している証のゴールである。
それだけに追加点を奪えなかったことに悔いが残る。「前半いい流れだったので、もっとシュートを打ちにいかなければいけなかったし、もっと怖さを出せるプレーをしないといけなかった」と水沼。あれだけ人とボールが動いてセレッソ大阪のプレスを無力化していたのであれば、前半シュート4本は少なすぎる。
崩しの局面に人数を割くあまり、肝心要となる相手ゴール前に枚数が足りていなかった。植中朝日がシュート0本に終わったのは彼個人の問題だけでなく、チームとしてストライカーポジションの選手をサポートできていなかった裏返しとも言える。
加えて隙を見せてしまったのもいただけない。相手GKのゴールキック一発で最終ラインの背後を取られる珍しいピンチからPKを与えると流れが一変。自陣でのボールロストから失点する悪循環につながってしまう。
自身のゴールを喜ぶよりもチーム全体に警鐘を鳴らしたのは水沼だった。
「結局、一番やられたらいけない形でやられた。PKを与えたシーンくらいから相手に流れを持っていかれたから、そこは完全に自分たちの甘さが出たと思う。難しさはあるかもしれないけど、ピッチに立ったらそれぞれの選手がプライドを持って戦わないといけない。絶対にやられたらいけないところだし、チームミーティングでも気をつけようと言っていたところでしっかりやられている。前半の最後だったので、あれは絶対にやられたらいけない」
攻守に詰めの甘さをのぞかせたことが勝ち点3に手の届かなかった要因である。
勝ち点以外にも収穫はあった
勝ち点1にとどまった悔しさが大きい反面で、この試合とメンバーでしか得られない収穫も間違いなくあった。
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