青赤20倍!トーキョーたっぷり蹴球マガジン

【コラム】徳島ヴォルティスJ1昇格。阿波で見事な踊りを披露した長島裕明ヘッドコーチと藤原広太朗の活躍を振り返る[2,875文字](2013/12/13)

12月8日、国立競技場でおこなわれたJ1昇格プレーオフ決勝は、徳島ヴォルティスが0-2のスコアで京都サンガF.C.を下し、年間4位ながらJ1への昇格を決める結果となった。

このピッチには、ふたりの青赤出身者がいた。ひとりは昨季までFC東京トップチームでコーチとして活躍した長島裕明ヘッドコーチ。もうひとりはFC東京U-18から立命館大学を経て徳島ヴォルティスに大卒新人として加入した藤原広太朗だ。

ランコ ポポヴィッチ監督の一年め、前からプレッシャーをかけに行く基本方針を掲げるなか、引いて構える状況でのディフェンスや中央を締める方策についても考え、整合性をとろうとしていた長島コーチ(当時)の頭脳は、モンテディオ山形時代以来となる小林伸二監督とのコンビでも活かされていた。きれいに揃った4-4-2の「うしろにコンパクト」な布陣で、京都の攻撃をことごとく網にかけてしまう。そして育成家としての手腕はチーム全体の、藤原の成長に活かされていた。

「ぼくらの仕事はいまいる選手をよくすること。できれば巧くさせたい。巧くさせることができなくても、サッカーを楽しませる。自分が伸びていることを実感してもらう、ということがすごく大事で。プロだから試合に出て活躍しないといけないんだけど、それが仮にできなかったとしても、伸びている自分に気づくとがんばれるじゃないですか。そこを大事にしてあげたい。でも本人の努力です。突出した選手は少ないかもしれないけど、幅広く選手がいたのかなと」

一年間でレベルアップを遂げた選手たちは、集大成となる国立競技場で存分に成果を披露した。そのひとりが藤原広太朗だった。長島ヘッドコーチは次のように藤原を評価する。
「(藤原)広太朗のなかではがんばったんじゃないんですか。小学校のときから知ってますからね。セレクションのときに担当していた選手なので。(仮に彼が今季いなかった場合は)ほかの誰かが代わりをやっていたとは思うんですけれども、でも心技体ですね。サッカーに必要な技術の部分だけでも体力の部分だけでもない、心の部分で新人なんだけどいちばん安定していたかもしれないですね。
波もなく、たいしたプレーもしないんだけれども、90分とか一シーズンを追いかけると……。広太朗らしい。これからですね」

きょうは彼の気の強い面がよく出たのではないかと問うと、長島ヘッドコーチは、
「もともと気が弱くはないですね。裡(うち)に秘めたタイプ。表面には出さなくてもいちばん負けず嫌いかもしれない。いいチームに来たんじゃないですか。(小林)伸二さんも好きなタイプだと思うし」
と答えた。自分に合った環境が、藤原を助け、チームの強化にも役立った。

(残り 1752文字/全文: 2863文字)

ユーザー登録と購読手続が完了するとお読みいただけます。

ウェブマガジンのご案内

日本サッカーの全てがここに。【新登場】タグマ!サッカーパック

会員の方は、ログインしてください。

« 次の記事
前の記事 »

ページ先頭へ