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「できれば東京に残りたかった」「東京は恰好よくなきゃね」タダナリ最後のトレーニング【コメント/レポート】李忠成FC東京退団囲み取材(2013/06/14)[5,092文字]

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「ファンとのふれあい」で最後の勇姿をひと目見ようと、あるいはひとこと言葉をかけるために訪れた人々の数は700人。

 

◆期限付き移籍期間満了を決めた要因は……

 

全体練習を終え、シャワーを浴び、身なりを整えてから、李忠成は報道陣の前に姿をあらわした。サウサンプトンからFC東京への期限付き移籍期間満了が正式に決まり「答えますよ。しっかり」とオープンな姿勢。
開口一番、出た言葉が「東京に残りたかった」、その理由が「監督だ」というから、すわ監督との確執か──と早合点しそうになった。

しかし話をよく聞いてみれば、あくまでも

・李忠成自身の評価とランコ ポポヴィッチ監督の評価が異なっている
・スタメンで出場できないから移籍するというわけではない
・出場できるかできないかは別にして自分の力、パフォーマンス、結果が(おそらくはダイレクトに)出場時間にあらわれるチームで時間を過ごしたい
・だからやむをえず移籍する。決して監督批判、あるいは人格批判ではない

ということがわかった。

現状、ポポヴィッチ監督は李をある程度、評価している。
だから話は少しややこしい。
まったく評価していないのだったらそもそも出場機会はないが、チームの状況を考えてあるときには先発、あるときにはスーパーサブで短時間というように、使い分けをされている。出場時間がゼロだから、それが不満で出て行くというわけではない。

問題は、李が、自分のプレーの質や結果からすれば、もっと出場時間があってしかるべきなのに、自分の想定よりも少ない時間しか与えられていない、と感じている点にある。
もしパフォーマンスが悪かったら、出場時間がゼロでも仕方がないが、パフォーマンスがいいのに出られないのであれば、自分の現在の力量では状態を変えられないということになる。
だから「やむをえず」出ていく、ということなのだ。

ポポヴィッチ監督にしてみれば一定の評価を与えていて、戦術などチーム運用上の理由で、できる範囲で出場機会を与えている。
李の考える妥当な出場時間と、ポポヴィッチ監督の考える妥当な出場時間のあいだで、折り合いがつかない。だから監督批判、人格批判ではないが、やむをえず契約を延長しないことにした。
自分がスーパーならどんな状況でも出場できるはずだが、そこまでスーパーなわけでもない。だから自分の力不足が出場機会を得られない原因だと認めてもいる。そのうえの決断だった。

李は次のように言っている。
「どのチームにいても、絶対に出られるという確約はないと知っていますし。そこでしっかり競争してから、自分で勝ち取れるチームに行きたい」
これはきわめてプロフェッショナルな判断だ。
ワールドカップまであと一年、あるいはあぶらの乗りきった今後四年間を、自分の力量や結果が出場機会のある/なしに影響しない、ある種あいまいな(李は「のらりくらり使われる感じ」と言った)状況ですごすより、出場機会を得られるにしろ失うにしろ、自分のプレーが直接、出場機会につながる環境でやったほうが、自分のためになる。

ならば、FC東京ファンとしては誇りをもって送り出したい。
欧州で活躍することでも、代表で活躍することでも、FC東京の下部組織、あるいはクラブそのものの質を世間に示すことはできる。FC東京の卒業生として、李忠成が世界に羽ばたいてくれることを祈るばかりだ。

 
○李忠成の談話

 

──期限付き移籍期間満了に際しての気持ちは。

正直、FC東京に残りたかったですね。下部組織上がりの選手が活躍しないといけないと思うし、地元のチームなので。活躍しなければいけない責任、活躍したい気持ちがすごくありました。それが2月にFC東京に入団してきた理由でもあったので。ほんとう、できれば残りたかったです。

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