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【シリーズ】2023 シーズンレビュー vol.2……軌道修正

 

vol.1……高き理想

2023シーズン、横浜FCにとって3度目のJ1挑戦は、過去2回と同じように最下位での降格で幕を閉じた。開幕から10試合勝てず、昨季の主力が相次いで離脱する中で、それでも最終節まで希望をつないだ。今季の苦闘を振り返っていく。

(文と写真/芥川和久)

 

▼開幕から10戦勝ちなし

『エンターテイメント・フットボール』の結果は無惨だった。開幕から10試合で3分7敗と、一つの勝星も挙げることはできなかった。攻撃的なサッカーを目指したはずなのに、10試合で得点はわずかに『8』。そして失点はその3倍を超える『27』を数えた。

得点が取れなかったことはチームの実力としても、失点の多さの要因は、第2節・湘南戦(2/24)の前半終了間際にガブリエウが前十字靭帯損傷の大怪我を負い、長期離脱を余儀なくされる不運があった。ブラジルの名門であるアトレチコ・ミネイロの下部組織で育ったCBは、チームで最も経験豊富で頼れるディフェンダーであり、今季はチームキャプテンも任されていた。

 

第2節の途中で長期離脱してしまったガブリエウ。豊富な経験からキャプテンとしてチームをまとめる仕事も期待されていたが……

 

ハイプレスとポゼッションを志向する4バックのCBは、いわば完全無欠な能力を求められる。最終ラインを上げ、前から人数をかけてプレスに行けば、当然、相手はそれを回避してロングボールを蹴る割合が増える。カウンターから相手攻撃陣と同数で守らなければならない場面も多い。空中戦の強さ、背後に抜けられた場合に対応するスピード、1対1の守備能力、相手FWとの駆け引き、危機察知力、一人で守れる範囲の広さ、カバーできるエリアの広さ……。さらに攻撃ではボールを持った際のビルドアップの判断、フィードの正確性、一人でプレスを1枚はがせる足元の技術、ボールを運ぶドリブル……、これらを高い水準で兼ね備えなければならない。

未知数のところもあったとはいえ、ガブリエウとンドカ・ボニフェイスの2枚のCBであれば、4バックが成立すると思われたし、逆にその二人がそろわなければ4バックで守ることは難しいのではないかと思えた。未勝利が続く中で、3バックに変更する意思を問う声がメディアからたびたび寄せられたが、四方田監督はその都度それを否定した。シーズン前、「今の時代、フォーメーションには柔軟性を持たせなきゃいけないというのが僕の考え。4バックも3バックも両方できないといけない」と語っていただけに、そこは多少、奇異に映った。

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