「ザ・ヨコハマ・エクスプレス」藤井雅彦責任編集:ヨコハマ・フットボール・マガジン

食らいつく意識。たくましく勝ち点3をもぎ取れるか [1st8節広島戦プレビュー]

 

リーグ戦では6試合負けなしの4勝2分と着実に勝ち点を積み上げてきた。そして前節はアウェイゲームながらジュビロ磐田に5-1の大勝を収めた。5ゴールすべて異なる選手が記録し、カイケや喜田拓也の初ゴールなどトピックも豊富な90分であった。これ以上ない勢いを持って、この一戦に臨めるのは間違いない。

 第7節を終えて獲得した勝ち点14には、幸運も多く存在した。マリノスが地力を示すと同時に、得点や試合展開のラッキー、あるいは対戦相手の不調も多分に含まれていた。概ね順当に強いチームが上位を占めている今シーズンのJリーグにおいて4位は立派な成績だ。ただしチーム力を正当に示す順位とは、まだ言い切れない。

言わずもがな、ここからが大切である。上位陣との対戦では浦和レッズと引き分け、川崎フロンターレや鹿島アントラーズとの対戦は先に控えている。そして今節はすぐ下の順位にいるサンフレッチェ広島と相対する。昨季2戦2敗と完敗を喫したチャンピオンチームを叩かなければ、本当の意味で上位に進出したことにはならない。

 

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この試合の指標になるのは、前記した浦和戦だろう。ペトロヴィッチ監督が作り上げた可変式の[3-4-2-1]は 広島がオリジナルである。もちろん浦和と広島では選手個々の特性が違うため、まったく同じスタイルではない。エリク・モンバエルツ監督は両チームの違いに ついて「守備のときに広島のほうが下がって守る」と話す。今シーズンはある程度高い位置からプレッシャーをかけている浦和に対して、広島は完全な[5-4-1]となって引いて守る。また、オフェンス面については小林祐三の「広島のほうが、よりDFのところで相手を外してビルドアップできる」という言葉がおそらく正しい。

これらを踏まえた上で、どのような展開になるか。浦和戦のように自陣ゴール前での守備を強いられると、やはり苦しい。ボールを奪う位置が低過ぎると攻撃に も影響も及ぼす。かといって前線から闇雲にボールを追いかけても、相手のビルドアップスキルには歯が立たない。相手が自陣に入ってくるタイミングあたりで 守備をスタートさせ、3ラインをキープしつつ守りたい。浦和戦のようにボランチが最終ラインに吸収される場面が多くなればなるほど、守備の機能性は低くなる。もちろん周囲との兼ね合いもあるが、中町公祐と喜田拓也はレベルの高いバランス感覚が求められる。

攻撃のポイントになるのは齋藤学と中村俊輔の二人。前者には最終局面での仕事はもちろんのこと、ビルドアップから攻撃のスイッチを入れる役割に期待した い。バイタルエリアにスペースを見つける能力に優れ、狭いエリアでもターンして前を向ける。いまのマリノスでそれができるのは齋藤しかいない。後者は、 オープンプレー以上にセットプレーで期待がかかる。問題はいかにしてセットプレーを獲得するか。浦和戦のようにCKが1本もない展開では輝きを放てず、チームとしても苦しい展開を余儀なくされているはずだ。

広島に対しても、順位表の上位に対しても、食らいつく意識が大切になる。粘り強く、辛抱強く、たくましく勝ち点3をもぎ取れるか。

 

 

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