「ザ・ヨコハマ・エクスプレス」藤井雅彦責任編集:ヨコハマ・フットボール・マガジン

日本代表に初選出された山中亮輔は「自分のことよりもチームが勝つことが一番大事。ウチも相手と同じように崖っぷちの状況だと思っている」と気を引き締め直した [J32節 長崎戦プレビュー]

 

「やっていることは結果が出ている時も出ていない時も変わらない。波が大きいのが今年の課題」

 攻撃をリードする存在の天野純が言う。

 リーグ戦2連敗の間にルヴァンカップ決勝・湘南ベルマーレ戦での黒星を挟み、公式戦3連敗中。前々節・ガンバ大阪戦の前半36分に仲川輝人のゴール以降、2試合半以上もゴールネットを揺らせていない。

得点数だけですべてを判断できないが、リーグ最多得点に最も近い位置にいるのだから、ゴールの数はチーム状態を測る大きなファクターだろう。同じ負けでも点を取れているのか、いないのか。一つの基準と言えるかもしれない。

今節のV・ファーレン長崎戦はウーゴ・ヴィエイラが累積警告で出場停止となる。ここまで13ゴールを決めているストライカー不在は痛手だが、左肘骨折からの先発復帰となる伊藤翔の発奮に期待がかかる。今週に入ってからは常に主力組で調整し、「ここへきてチーム状態が失速してきているので、自分が喝を入れるような存在になれれば」と鼻息を荒くした。

左ウイングには遠藤渓太が戻ってくる。ガンバ戦で左太もも裏を痛めて途中交代を余儀なくされ、ルヴァンカップ決勝と前節のFC東京戦を欠場した。しかし、その甲斐あってかここへきてコンディションが戻りつつある。本人の表情も明るく、「ニューヒーロー賞を獲得した選手という見られ方をすると思うので、相手のプレッシャーも周りからのプレッシャーも乗り越えたい」と活躍を誓う。

 

 

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中盤の一角には大津祐樹が先発に戻りそう。リーグ戦3連勝時に見せた圧巻のパフォーマンスは記憶に新しいところ。ボールロストした瞬間の切り替えで大津がどれだけ存在感を発揮できるかは、チーム状況のバロメーターになるだろう。背番号9が守備で目立つのは悪いことではなく、むしろ高い位置まで侵入した末にボールを失っているのだからポジティブな意味合いが強い。

 

 

ベンチに目を移すと、U-19日本代表から帰ってきた久保建英や、外国籍枠の問題でしばらく試合から遠ざかっていたオリヴィエ・ブマルが久しぶりに名を連ねる。ストライカーポジションこそ替えが利かないものの、アタッカー陣はイッペイ・シノヅカも含めて駒が増えた。彼らには膠着した状況の打開策を任せたい。

相手は死に物狂いでこの一戦に臨んでくるだろう。アウェイのスタジアムは異様な雰囲気に包まれるかもしれない。そういった状況下でも平常心を保ってプレーする強さが求められる。日本代表に初選出された山中亮輔は「自分のことよりもチームが勝つことが一番大事。ウチも相手と同じように崖っぷちの状況だと思っている」と気を引き締め直し、長崎へ向かった。

 

 

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