「ガンバがアデミウソンを狙っているらしいですよ」 にわかに信じられなかった [アデミウソン、ガンバ大阪移籍の裏] 藤井雅彦
ある噂を耳にしたのは、すでにリーグ戦が終了していた11月下旬だった。練習を終えて帰路に着く選手を待ち、クラブハウスに隣接している駐車場で話を聞くタイミングでのこと。ある選手が発した言葉に一瞬、言葉を失った。
「ガンバがアデミウソンを狙っているらしいですよ」
そのときは、にわかに信じられなかった。
たしかにガンバ大阪にはJリーグで活躍した優良外国籍選手を次々と手の内に入れてきた実績がある。名前を挙げればキリがない。アラウージョ、マグノ・アウベス、ルーカス、レアンドロ、ペドロ・ジュニオール、イ・グノ…。現在はマリノスに在籍しているラフィーニャもそうである。Jリーグで実績した助っ人ストライカーで自チームにフィットしそうな選手を次々と獲得し、そのほとんどが実際に大当たりとなった。
その頃、アデミウソンは日本で過ごす時間が残り少なくなり、切ない表情を浮かべるシーンが多くなった。栗原勇蔵や比嘉祐介を自宅に招いてバーベキューパーティーを開催するなど、チームにもすっかり馴染んでいた。それだけに別れの日が刻一刻と近づき、寂しさを隠しきれない様子だった。全体練習最終日にはプライマリーの子どもたちにサインを求められ、目頭を熱くした。
「マリノスでプレーしたい気持ちはある。でも、これは自分一人の考えでは決められないこと。サッカー選手として運命に従いたい」
そう言って取材を行った記者全員と固い握手をかわした。筆者も厚い抱擁を交わし、再会を誓った。
しかし、その約束はどうやら対戦機会の場で果たされることになりそうだ。12月に入ってガンバ大阪はアデミウソン獲得への動きを強め、サンパウロから期限付き移籍で獲得することに成功した。経緯の全容は明らかではないが、冒頭で述べたように早い時期から獲得の可能性を模索していたことだけは間違いない。チャンピオンシップや天皇杯を戦いながらも、並行して来季の補強の目玉としてサンパウロとクラブ間交渉を行っていた。
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