「今のパク・イルギュには、鳥栖で輝いて結果を出すことが必要なんです」 パクの澄み渡った視界の先に見えるのは、より成長した自分自身の姿である [パク・イルギュ期限付き移籍]
パク・イルギュの口調はいつも通り明るく前向きで、それでいて言葉の端々にかつてないほどの強い決意がにじみ出ていた。
「今回の期限付き移籍をものすごくポジティブに考えています。僕の年齢はいま30歳だけど、J1でのプレー経験はわずか2年目の選手。だから試合に出場することでもっともっと成長できると思っているし、その歩みをここで止めるわけにはいかない。今シーズン終了までという短期契約だけど、サガン鳥栖が自分を必要してくれたのはとても光栄なことです」
シーズン当初のゼロックス・スーパーカップやリーグ開幕戦で思うようなパフォーマンスを発揮できず、さらに度重なる負傷にも悩まされた。直近では9月9日の名古屋グランパス戦で鼻骨を骨折。悔しい戦線離脱を余儀なくされた。
ただ、控えに回っても組織の和を乱すことなく振る舞った。ピッチで奮闘する梶川へのリスペクトの気持ちと、そして元チームメイトが過去に見せてくれた背中を知っていたからだ。
「骨折から復帰してからは試合に飢えていました。でもカジ(梶川)はいいプレーをしていたし、チームとしての流れも悪くなかった。だから自分が試合に出られないのは仕方ないことです。僕が去年、試合に出始めた時のことも思い出しました。大樹くん(飯倉/現・ヴィッセル神戸)も今の自分と同じような状況で、それでもピッチ内外でいい関係を築けていました。今年はゼロックスや開幕戦でいいプレーができず、その後は負傷もありました。誰かのせいにはできないし、自分自身の問題です」
垣間見せたプライドは、マリノスのゴールマウスを守ってきたという自負があるからこそ。チームがシステム変更を繰り返しながら白星を積み重ねていた時期で、静かにチャンスの時を待った。
同じ頃、マリノスは10月の第3登録期間(ウインドー)で鳥栖・高丘陽平の完全移籍での獲得を目指していた。11月下旬からカタールで再開するAFCチャンピオンズリーグ(以下、ACL)もにらんでの補強策だった。
「自分は登録枠の関係でACLに出場できないので、チームとしてはGKが必要な状況でした。それが高丘くんだったわけで、このタイミングで補強するのは必然の流れだったと思います。その状況でも強化部や監督、それからシゲさん(松永GKコーチ)は、自分のことをものすごくケアしてくれました。
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