長期離脱明けの背番号24が左足を一閃。 マリノス加入後初ゴールで一矢報いる。[J12節 浦和戦レビュー]
加藤聖の瞳はギラギラと燃えていた
アンカーポジションで先発し、途中からインサイドハーフに移った榊原彗悟は唇を噛みながら静かに言葉を紡いだ。
「あまり自信を持ってプレーできなかったというか、90分通してフィーリングが合わせなかったのは自分の力不足。チームにとっても自分にとっても悔しくて、情けない試合をしてしまった。相手のプレッシャーや強度もあるけど、今日は一人ひとりの判断や技術のところがうまくいかなかった」
浦和レッズの迫力と強度、さらにはアウェイの雰囲気にも呑み込まれてしまった。
前節からフィールドプレーヤー10人を入れ替えた難しさがあった。と書きたいところだが、前々節のセレッソ大阪戦からは6人が継続で入れ替わったのは4人だけ。その試合から中8日あったのだから、コンディションも理由にならない。
精神面に言及したのは唯一、連続で試合出場しているGKポープ・ウィリアムだった。
「チームも個人も不甲斐ないというか、もっと見せるべき戦う姿勢とか、根本的な部分。ベースに気持ちの部分や戦うがないと、その上での技術だと思う。前半は特に相手の雰囲気に怖気づくじゃないけど、もっと強い気持ちで相手を食うくらいの気持ちでやらないと」
立ち合い負けした上で、天野純が左足首を捻って序盤にプレー不可能に。戦略上もキーマンである相手の11番を、誰が、どのようにケアすべきか明確になっていなかった。「正直、中でズレがあって全員が共通理解できていない時間帯もあって、そこで相手にペースを握られてしまった」と先発復帰した渡辺興が述懐した通りである。
それでも自陣ゴール前の最後のところでしのげれば問題なかったのだろうが、なかなか思うように事は進まない。ポープが「やっぱり後ろが踏ん張り切れていないのが数字として出ている。僕としても最後を防ぐという個人のクオリティのところでチームの力になれていない」とうなだれての2失点。苦しい時間帯は多くても被決定機は少なかったのだから、肝さえ押さえれば勝機を見出せた可能性はある。
少なくとも加藤聖の一撃で一矢報いて1点差に詰め寄ったのは事実。加入後初ゴールにも「嬉しいけど、僕が求めていたのは勝利だけだった。嬉しいは嬉しいけど、このゴールが勝ちにつながらなかったのは悔しい」と言い放った瞳は、ギラギラと燃えていた。
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