「ザ・ヨコハマ・エクスプレス」藤井雅彦責任編集:ヨコハマ・フットボール・マガジン

「とても楽しみな選手」と得点王ロペスも太鼓判を押す。 最高の先発デビューでも、決して満足しないのが塩貝健人だ [J8節 湘南戦レビュー]

 

 

青の正体は、この日初先発の19歳だった

 

ポテンシャルの高さをまざまざと見せつけた。

松原健の浮き球パスに反応した水沼宏太は、相手選手のカバーリングが一歩早くてもあきらめずに走り続ける。「自分は絶対にボールは出ていないと思った。大丈夫だと思った」と自信の折り返しがゴール前へ。

 

 

 

 

待っていたのはもちろん塩貝健人なのだが、水沼はその瞬間に人物まで特定できなかったらしい。それでも、だ。「シオ(塩貝健人)かわからなかったけど、あそこに青がいた。そこにぶつけた」。青の正体は、この日初先発の19歳だった。

 

 

 

 

偶然よりも必然に近い形のゴール。塩貝は納得の様子で得点シーンを振り返る。

「絶対に点を決めるという気持ちで臨んだ。本職はセンターFWなので、こっちのほうが慣れている。ウイングの選手にも、クロスに対してポイントにいることを伝えていて、それだけは絶対に意識して臨んだ」

 

 

 

前日練習の段階から水沼は「今日は絶対にお前に点を決めさせるから」と伝えていたことを明かす。ストライカーは最高のお膳立てをもらい、あとはプッシュするだけ。将来有望な若手選手に点を取らせた背番号18は「真ん中の選手は落ち着いて相手と駆け引きして勝っていれば自ずと点を取れる。それくらい周りがサポートするのが大事だし、それがマリノス」と胸を張った。

 

 

 

 

塩貝の凄みは得点場面にとどまらない。30分、右サイドに流れた植中朝日からの折り返しを受けると、相手選手を背負った状態からボールを持ちこみ、切り返して左足でシュートを放つ。ミートしきれずGKに阻まれたが、得点の匂いが常に漂う。

 

 

 

 

つづく31分には再び水沼からのパスを受け、トラップから間髪入れずにシュート。之もコースが甘く、GKに止められた。倒れ込んだ塩貝はグラウンドを叩いて悔しさを露にする。

嗅覚といった抽象的な要素だけでなく、シュートに持ち込む際のボディバランスが素晴らしい。ドリブルからシュートを打つ型も持っている。得点王のアンデルソン・ロペスは「スピードがあってパワーがあって、すごく献身性もある。とても楽しみな選手」と太鼓判を押した。

 

 

 

 

そしてギラギラとしたメンタルや負けん気の強さも長所である。前記した2つの決定機を思い返しながら「決め切れるシーンは2本あった。そこを決めたら今回の試合は勝てたと思うので、今日引き分けだった原因は自分が決められなかったこともあると思う」と勝ち切れなかった責任を背負うあたりも、実に頼もしい。

最高の先発デビューでも、決して満足しないのが塩貝健人だ。

 

 

 

 

小池裕太が左ウイングで元気はつらつとしたパフォーマンス

 

6連戦の5試合目で、前節のガンバ大阪戦から中2日。それだけではない。この試合が終わると中3日でACL準決勝第1戦を韓国で戦う。ひとつではなく複合的な理由が絡まり、湘南ベルマーレ戦では先発を9人入れ替えた。連続出場はGKのポープ・ウィリアムと加藤蓮の2選手にとどまった。

 

 

 

 

ヨコエク

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