全治5ヵ月診断を4ヵ月弱で復帰。 タッチライン際を疾走し、全力でジャンプして競り合い、体を張って守る。 覚悟を決めた永戸勝也のプレーでマリノスは加速した [ACLラウンド16 バンコク・ユナイテッド戦レビュー]
ブランクを感じさせないプレーぶりで周囲を安堵させた背番号2
シュート35本、CKは21本の数字が示すように、マリノスが圧倒的に攻め続けた試合だ。それなのにゴールネットを揺らすことができない。際どいシュートがポストに弾かれ、相手GKの好セーブも飛び出す。選手だけでなく、見ている側も焦れる展開だった。いくつかの好機を決めきれなかった天野純は「みんなフラストレーションが溜まる展開になったけど、それがACL。別物の大会だなと痛感した」と首を横に振った。
右サイドバックで途中出場した村上悠緋の縦突破からのクロスがPK誘発につながったのは延長後半アディショナルタイムのこと。この試合初めてゴールが決まるまでに、キックオフから120+2分が経過していた。最初から最後まで攻め抜いて掴んだ成果とはいえ、力差があっても簡単に勝てないのが国際大会の難しさなのだろう。
その中で長期離脱から復帰したのが永戸勝也だった。メンバーリストに名前があっただけでも驚きなのに、あろうことかハリー・キューウェル監督は82分に背番号2をピッチに送り出す。
昨年10月下旬に負傷し、以降はリハビリと別メニュー調整を続けてきた。懸命の努力が実を結んだのは間違いない。ただしプレシーズンの段階で一度も対外試合に出場していない選手である。全治5ヵ月の診断を4ヵ月弱に縮めての復帰には、さまざまな部分で不確定要素がはらんでいた。
選手はピッチに立ったら、やるしかない。タッチライン際を疾走し、全力でジャンプして競り合い、体を張って守る。覚悟を決めた彼のプレーでマリノスは加速していく。ブランクを感じさせないプレーぶりで周囲を安堵させながらも、試合後に本音を明かして屈託のない笑みを浮かべるあたりが、実に彼らしい。
「怖かったですよ。でも出さないようにしていた。ナイターの日産スタジアムは怪我をした時と同じだったので、考えたくなくても考えてしまう。でも見てもらってわかるように自分のパフォーマンスを出せた。展開によっては出場しない可能性もあったと思うけど、40分いけるかと聞かれてNOとは言えない(笑)。心の中では気をつけながらという思いもあったけど、思った以上にできたし、スプリントもできたし、リアクションもできた」
後半終了間際には相手ペナルティエリア内にスプリントで侵入し、エドゥアルドのロングフィードを受けようと試みた。わずかに届かなかったこのアクションが、永戸勝也の復活を強く印象付けた。
宮市亮がヒーローになるチャンスも、続いていく
永戸の存在と鋭いパスで輝いたのは、60分から途中出場していた左ウイングの宮市亮だった。
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