「ザ・ヨコハマ・エクスプレス」藤井雅彦責任編集:ヨコハマ・フットボール・マガジン

フロンターレに負けたのは面白くない。が、週末のガンバ戦に向けたデメリットにはならない [ナビスコ6節川崎戦レビュー] 藤井雅彦 -1,416文字-

 

先週のヴィッセル神戸戦よりは幾分マシな出来だった。それは単純に出場している選手の総和が上がったからであり、チームとしての機能性は相変わらず皆無に等しい。リーグ戦で趣向されているスタイルの面影はなく、出場した選手が即興で何かを求められる。主力組との格差は明らかで、これではチーム全体の底上げにはならない。あくまで若手が個人ベースで経験を積んだだけだ。

出場選手の中で最も経験がないのは高卒ルーキーの中島賢星で、次いで天野純、そして比嘉祐介。あるいは佐藤優平だが、彼の場合は昨季終盤にレギュラーポジションをつかんでおり、中島や天野純と比較よりも試合に慣れている。しかし終わってみれば4選手ともレギュラークラスを脅かすパフォーマンスを出せなかった。

4-4-2_2015B 対照的に後半途中から出場した兵藤慎剛は、周囲の低調ぶりに染まることなく良さを出せていた。ボランチに入ったが、やや高めのポジショニングで相手のギャップを突く。巧みなレシーブ技術からシュートチャンスを提供するプレーは効果的だった。仮に週末のガンバ大阪戦でトップ下起用されるなら、その要求に応えられるのではないか。

また、個人レベルの話ではラフィーニャの復帰はとても明るいニュースだ。フィジカルレベルは良化途上だが、それでも局面の強さと速さは助っ人選手である。ガンバ戦以降、フルタイムは難しくてもワンポイント起用する目処が立った。あとは再び負傷離脱しないことを祈るのみ。とりあえず今日のところは大丈夫のようだ。

 

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この敗戦によってナビスコカップの予選リーグ敗退が決定した。5試合のうちの4試合は控え選手を組み込んで戦っており、その4試合とも敗れている。この事実はおそらく偶然ではなく、主力組が出場していれば違った結果になったかもしれない。一方、リーグ戦で結果が出ているのはカップ戦で温存した効果ともいえる。どちらも断言はできないが、少なくともプライオリティーの高いリーグ戦で楽しみな位置につけているのだから、それがすべてだ。

川崎3-4-3 試合後の記者会見でカップ戦敗退について総括コメントを求められたエリク・モンバエルツ監督は「リーグ戦とカップ戦で2チーム分ハイレベルなプレーができる状態ではなかった」と話したが、仮にけが人がいなくてもそれは無理難題である。これはマリノスに限らずJクラブ全体に当てはまることで、欧州のトップレベルのクラブのようにターンオーバーできるチームはそうそうない。それを狙った浦和レッズでさえ、ACLではあっさり敗退しているのが現状だ。

メンバーを入れ替えているメリットは疲労度以外にも敗戦のショックを引きずらなくていい点だろう。実際、先週は神戸に敗れたが「松本戦には関係なかった」(モンバエルツ監督)。フロンターレに負けたのは面白くないが、それが週末のガンバ戦に向けたデメリットにはならない。ファビオが言うように「今日の敗戦のことは忘れてガンバ戦に気持ちを切り替えたい」。

 

 

 

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