グループステージ突破の可能性は十分に残されている 水沼宏太はあえて厳しい台詞で自分たちを奮い立たせようとした [ACL 仁川戦レビュー]
相手の強みが出やすいシチュエーション
この試合を迎えるにあたっての大前提をもう一度述べておく必要がありそうだ。
先週末の結果をうけて、マリノスのリーグ戦順位が2位で確定した。奮闘虚しく、リーグ優勝と連覇に惜しくも手が届かなかった。精神的なショックを少なからず抱えた中でのACL韓国遠征になった。
ただ、優勝の芽が潰えても公式戦は残っている。チームはケヴィン・マスカット監督を先頭に、立て直しを図った。ミーティングでリバウンドメンタリティを強調し、選手たちが再び一丸となって試合のピッチに立ったのは想像に難くない。
仁川ユナイテッドFCでは序盤から出足鋭くプレスに走った。当然かもしれない。戦術的な思考よりも、姿勢で示すことが肝要だったのだから。韓国は隣国とはいえ、海を渡った先の国である。駆け付けた626人のサポーターに対して、マリノスのエンブレムを付けて戦う意味を見せようと前傾姿勢になる。
結果的に巡り合わせが悪かった。仁川が有する最大の武器はボールを奪ってからの鋭いカウンターアタック。それは2-4で苦杯をなめた前回対戦で嫌というほど味わった。前へ出なければいけないマリノスと、その背後のスペースを突きたい仁川。今回のタイミングは相手の強みを出させてしまう状況になってしまった。
そんな展開で喫した2失点を取り返すべく、マリノスもそれなりにチャンスを作った。エウベルの浮き球パスを受けた水沼宏太のシュートが決まっていれば、と思わずにはいられない。本人も「何が何でもねじ込むことが大事だったし、自分が決めていれば流れは変わったと思う。そこは力不足だったし、決めないといけなかった」と唇を噛んでいた。
あるいは吉尾海夏の直接FKがバーではなくゴールに吸い込まれていれば。左サイドバックでのプレーが板についてきただけに、攻撃面でもプラスαをもたらしたい。「感触はめちゃくちゃ良かった。あと少し力を抜いてというか、本当に少しのコースのところ。あそこでしっかり決め切れていれば流れも良くなっていたと思う。ああいうところを決め切れるか、決められないか」と悔しさを露にする。
それでも後半、右CKからエドゥアルドが頭でつなぎ、エウベルがゴールネットを揺らしてくれた。ブラジル人アタッカーが一矢報いた形のゴールは、のちに大きな意味を持つかもしれない。
一森純がサポーターへの感謝の気持ちを言葉にする
敗れて何かが終わったわけではない。グループステージ突破の可能性は十分に残されている。
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