「ザ・ヨコハマ・エクスプレス」藤井雅彦責任編集:ヨコハマ・フットボール・マガジン

F・マリノスの一員として2度目の優勝を成し遂げた仲川輝人のヨコエク独占手記 「試合前に痛み止めの注射を打って、それでも痛かったらハーフタイムにもう一本注射を打って……」 [仲川輝人2022優勝手記]

 

 

30代となって、仲川輝人はより一層まばゆい輝きを放っている。

優勝を決めたヴィッセル神戸戦では、ダメ押しとなるチーム3点目をゲット。

でも、決して順風満帆ではなかった。

困難と試練が次々に襲ってくるシーズンをどんな思いで過ごし、いかにして乗り越えたのか。

「みんなに感謝したい。みんなのおかげで優勝できた」

横浜F・マリノスの一員として自身2度目のリーグ優勝を成し遂げた直後、独占手記をヨコハマ・エクスプレスに寄せてくれた。

 

 

 

 

絶妙なバランスや感触を探しながら、雰囲気作りの声をかけている

 

たかが3年、されど3年だな、と。

前回、優勝した2019年はとにかく自由にプレーさせてもらった。自分がチーム状況や雰囲気をあまり考えなくても、経験ある選手やリーダーシップに長ける選手が雰囲気を察して、掛け声をかけてくれた。僕はマイペースでやっていればよかった(笑)。

時間が経って、少しずつチーム内での立ち位置が変わってきた感覚がある。影響を受けたという意味で、やっぱり宏太くん(水沼宏太)の存在は大きかった。フィールドプレーヤー最年長なのに、とにかく元気いっぱい。絶え間なく声を発して、いつもチームを盛り上げてくれている。

だからといって甘えてばかりいられない。30歳になった自分にできることもあるかな、と考えるようになった。

 

 

意外に思われることをやったら面白そうという発想で、試合前にロッカールームで組む円陣の時に声を出す機会を増やした。選手がガチガチに緊張していたら力を発揮できないし、かといって気が緩んでいてもダメ。絶妙なバランスや感触を探しながら、雰囲気作りの声をかけている。

自分に対してプレッシャーをかける意味合いもある。だから先発でもサブでも同じように声を発している。戦う雰囲気はみんなで作るものだから。ルーティーンにすると意味がなくなるような気がするので、毎試合絶対にやっているわけではない。詳しくは『THE DAY』をご覧ください(笑)。

チームとしては最高の形でシーズンを終えられたけど、個人としては難しい時間も多かった。何度か小さなケガをしたことで、プレータイムを制限せざるをえなかった。長期離脱することなくシーズンを戦えたのは監督やコーチ陣、メディカルスタッフのおかげ。常にコミュニケーションを密に取りながら進んできたからだと思う。

でも、満足はしていない。自分自身でもったいないシーズンにしてしまったという悔しさのほうが大きい。

 

 

 

試合前に痛み止めの注射を打って、それでも痛かったらハーフタイムにもう一本注射を打って……

 

開幕戦から2試合で3得点。最高の滑り出しになったと手ごたえを感じていた矢先のこと。柏レイソル戦の前日練習でスプリントした時、強い痛みが走った。2014年の前十字靱帯再建手術の時に移植した腱が同じ右ひざの裏にあって、その部分を痛めてしまった。

完全にプレーできないほどの負傷ではなかったけど、スプリントすると激痛が走る。休んで状態が良くなったとしても、動き出した時に結局痛くなる可能性が高かったので、プレーしながら治していく道を選んだ。ただ、なかなか痛みが引かなくて本当に苦しかった。

 

 

それからは60~70分で途中交代する試合が多くなり、45分だけの出場や途中出場も増えた。試合前に痛み止めの注射を打って、それでも痛かったらハーフタイムにもう一本注射を打って……。この繰り返しで、4月くらいまでは70%くらいの力しか出せなかったと思う。

患部が少しずつ気にならなくなってきたと思ったら、今度は右足のアキレス腱が痛くなった。変なバランスで走っていたせいで知らず知らずのうちに負荷がかかっていたのかもしれない。プレー中はそこまで気にならない。ドリブルもできる。でもプレーが一度終わると、痛いなぁ、って。京都戦でハーフタイムにベンチへ下がる時はめちゃくちゃ痛かったんだけど、その様子がDAZNの中継で映像として抜かれてしまったのはミスだった(笑)。

 

 

ヨコエク

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