本当の意味での競争が始まる。 開幕5連戦で可能性を示した若手が踏み出す次の一歩とは [J4節 札幌戦プレビュー]
台頭した力の真価が問われるのはこれから
開幕5連戦で得た収穫や手ごたえ、あるいは反省材料を生かして前へ進みたい。日々成長し、試合を重ねるごとに、シーズンが進むにつれて強くなる。それがマリノスの描く青写真だ。
数多いトピックの中でも、若き力が躍動したことを強調したい序盤戦だった。
アカデミー出身でユースから昇格したばかりのルーキー山根陸、昨夏にプロ契約してから先発機会のなかった角田涼太朗、そしてレンタルバックから今季帰還した吉尾海夏などである。藤田譲瑠チマも20歳と年齢こそ若いが、立ち位置が異なる点は後述する。
共通しているのは、試合に出てもまったく満足していないメンタルだ。18歳の山根が「自信になったプレーもあったけど、まだまだ課題が多かったと痛感している。安易に次も出たいと言える立場、実力には達していない」と冷静に話せば、角田は「1試合スタメンで出ただけで何も成し遂げていない」とさっそく次を見据える。
試合出場はひとつの通過点でしかなく、絶対的な存在になってマリノスを勝利に導くことを視野に入れている。向上心や野心は才能や能力を開花させるために必要不可欠で、頼もしいかぎり。実際に見せたパフォーマンスや結果も上出来だった。
とはいえ、序列がすぐに覆るわけではない。活躍や台頭に水を差すつもりはないが、彼らに出番が訪れたのはチームとしていくつかのエクスキューズがあったから。ケガ人や出場停止、あるいは連戦といった事情がなければ、果たしてどうだっただろうか。
巡ってきたチャンスでしっかりプレーできたことを賞賛しつつ、継続的なパフォーマンスや成果が必要だ。それを理解している山根は「自分がファーストチョイスに慣れるように成長したいし、スタメン争いに加われるくらいの野心をつけていきたい」と目線を上げた。開幕前のインタビューで「強気に10ゴール10アシストを目指してやっていく」と宣言したのは吉尾で、ならば長く険しい道のりの一歩目を踏み出しただけに過ぎない。
喜田拓也と畠中槙之輔は慎重に調整を進めている段階だが、マルコス・ジュニオールや渡辺皓太はこの試合で戦線復帰する可能性が高い。彼らとのポジション争いが本当に始まるのは、これからだ。
興味深いメンバー構成と、その実効性
指揮を執る側の視点に立つと、ケヴィン・マスカット監督は常に負傷に対するリスクヘッジを踏まえて選手起用を考えている。目の前の試合で勝利を目指すのは当然でも、並行して次戦以降も考慮するベンチワークだ。
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