「ザ・ヨコハマ・エクスプレス」藤井雅彦責任編集:ヨコハマ・フットボール・マガジン

小池龍太が先発11人に含まれている安心感は絶大だ。 そして吉尾海夏はプロ6年目で、ついに万感のマリノス初ゴール[J3節 清水戦レビュー]

 

 

開幕5試合でフィールドプレーヤー26人中23人がプレー

 

スタメン8枚替えの次は6枚替えと大胆采配を続けているケヴィン・マスカット監督。負傷や連戦といった事情があるにせよ、これだけメンバーを動かしてチーム力を維持するのはとても難しい。多くのチームが戦力ダウンを覚悟しながらミッドウィークのルヴァンカップで試す起用法に近く、アンジェ・ポステコグルー監督が率いていた時期のマリノスもしっかり割り切っていた。

 

 

台所事情が厳しいとはいえ、それをリーグ戦でもできる潔さがマスカット監督の最大の強みだろう。「チームにとって何がベストかを見極めて試合に臨んでいる」を念頭に置きながら、使える戦力をどのように組み合わせればパフォーマンスを維持・向上できるかに焦点を当てる。だから直近の試合から先発が何人入れ替わったとしても、マリノスらしく戦えるのであれば大きな問題ではない。

 

 

言うは易しで、度胸と覚悟が試される采配だ。やはりマリノスにしっかりとしたプレーモデルが息づいていることが大きい。2018年にポステコグルー監督が就任してから一貫してアタッキングフットボールを追い求め、結果に一喜一憂すること続けてきた。新加入選手を迎え入れても、主力選手がシーズン途中に移籍しても、マリノスは常に変わらず積み上げてきた。

2022シーズンは開幕したばかりで、まだ5試合を消化した段階に過ぎない。それなのに登録されているフィールドプレーヤー26人中23人がすでにピッチに立ってプレーしている。特定の選手に依存していない証左で、個々が得た経験や成功体験は間違いなく今後に生きる。シーズン中盤から終盤にかけて、より大きな成果を得られる下地作りができたのはポジティブな材料になる。

2日のヴィッセル神戸戦と今日の清水エスパルス戦だけを切り取っても、2試合連続でフル出場した選手はGK高丘陽平ただひとり。負傷のリスクを軽減することを真っ先に考え、その状況を有効活用して多くの選手に場数を踏ませる。

それだけではない。

「選手たちも今日までの試合で一人ひとりが緊張感をもってやらないといけないと感じたはず。どの選手もいくつかのポジションでプレーするので争いが激しくなると感じたと思う」

 

 

起用法を用いて選手のメンタル面にも言及した指揮官。納得のパフォーマンスで勝ち点を積み重ねるだけでなく、誰がピッチに立っても不思議ではない状況を能動的に作り出すことに成功した。

 

 

ふたりの男がもたらした2ゴール

 

その中で先制点を決めて勝利に大きく貢献したのが、ボランチで先発した小池龍太だった。

 

 

ヨコエク

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