「ザ・ヨコハマ・エクスプレス」藤井雅彦責任編集:ヨコハマ・フットボール・マガジン

「樋口(靖洋)さんと下條(佳明)さんが、わざわざ新宿のホテルまで来てくれて。監督が交渉の席に来てくれてうれしかったです。選手ってそういうところ単純だから」(笑)[下平匠インタビュー(後編)]

前回からつづく

トリコロールを纏った男たち 

下平匠インタビュー(後編)

インタビュー・文:藤井 雅彦

 

 

現在はシステム開発の会社で働きながら南葛SCの一員としてプレーする下平匠。

インタビュー後編では2014年から2018年夏までを過ごした『マリノス時代』について振り返ってもらった。

加入の経緯、ケガで空白となった10ヵ月間、移籍の真相など、オフレコ満載の内容に。

マリノスの歴史を彩った左サイドバックの声に耳を傾けよう。

 

 

 

「選手って単純だから(笑)。単純だから、気にする」

 

――横浜F・マリノスに加入したのが2014年でした。覚えている範囲で経緯を聞かせてください。

「大宮アルディージャの一員として過ごした2年間はたくさん試合に出場できて、充実した時間でした。でもプレーヤーとしての幅をさらに広げるために何が必要か考えて決断しました」

 

――なぜマリノスを選んだ?

「自分に足りないものは守備だと分かっていました。だから、そういった特徴を持ったチームでプレーしたほうが成長につながるかな、と。あとは純粋にタイトルを獲りたかったんです」

 

――マリノスは2013年に2位となり、2014年はACLも戦うシーズンでした。樋口靖洋監督が率いるチームでしたね。

「樋口さんと下條さん(佳明/当時のチーム統括本部長)がわざわざ新宿のホテルまで来てくれて、お茶をしながら話をしたのを鮮明に覚えていています。僕が大宮へ移籍する時は監督と話をする機会はなかったので、監督が交渉の席に来てくれてうれしかったです」

 

 

 

――監督が交渉に同席するのはたまに聞きますが、選手としてはやはりうれしいもの?

「選手ってそういうところ単純だから(笑)。単純だから、気にする。結局、自分を使ってくれるどうかを決めるのは強化部長ではなく監督なんですよ」

 

――加入したのは26歳になるシーズンでした。最初の印象は?

「一人ひとりに個性があって、オンとオフがはっきりしているという印象でした。ガンバとも大宮とも違って、これがマリノスの色なんだなと感じました」

 

――センターバックに中澤佑二と栗原勇蔵がいてプレーしやすかったのでは?

「真ん中に佑二さんと勇蔵くんがいる。サイドの選手からしたら、アバウトなクロスなら上げさせても大丈夫かなという気持ちでプレーしちゃいますよね(笑)」

 

 

――反対サイドの選手ですが、下平匠にとって小林祐三とは?

「パンゾーくん(小林祐三)とは対戦したこともあって、対人守備が強い印象でした。そういうところを盗みたいとも思っていました。でも自分が盗めるようなレベルではなかった(苦笑)。試合で対戦した時よりもチームメイトとして一緒にプレーして、すごさをより感じました」

 

――中澤佑二、栗原勇蔵、小林祐三の3人と組む最終ラインは心強かったのでは?

「とにかく安心感がありました。でも、自分のところからやられた記憶もたくさんあります。特に最初は『そりゃ、オレのところやられるやろ』くらいに思っていましたから(笑)。守備の部分でその3人にすぐ追いつけるとは考えていなくて、自分の特徴でプラスαをもたらすほうが大事かな、と。守備で足を引っ張るとしたら、違う部分でプラスになればいい。それでタイトル獲得に貢献したかったんです」

 

 

 

 

ジェフ千葉へ移籍した真相

 

――翌2015年からエリク・モンバエルツ監督が就任し、34試合フルタイム出場です。なかなかできることではないと思います。

「たしか佑二さんとふたりでフルタイム出場したんです。でも佑二さんは当時36歳のシーズンで、自分のほうが10歳くらい若かった。佑二さん、ホンマすごいな(笑)。モンちゃん(モンバエルツ監督)は試合に使ってくれたので自分の中に悪いイメージはないですけど、次のシーズン途中にケガをしてしまって……」

 

 

――左ふくらはぎの肉離れでしたよね?

 

 

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