「ザ・ヨコハマ・エクスプレス」藤井雅彦責任編集:ヨコハマ・フットボール・マガジン

出場停止明けのマルコス・ジュニオールがトップ下で先発濃厚。 そして主役の座に躍り出るのはいったい誰か  [J34節 G大阪戦プレビュー]

 

 

ポイントは先制点を与えないゲーム運び

 

8月末の鹿島アントラーズ戦から結果的にバランスを崩し始め、以降は7試合を戦って3勝1分3敗と五分の戦績にとどまっている。

試合それぞれで状況や敗因は異なるのだが、失点が増えているのは誰の目にも明らか。7試合で10失点を喫しており、それまで26試合で21失点を喫していなかった事実と比較すると、やはり下降傾向にある。クリーンシートは10月1日の湘南ベルマーレ戦のみだ。

いただけないのは、その7試合すべてで先制点を挙げていることだろう。

前節のセレッソ大阪戦は顕著な例だが、試合開始10分も経たないうちに失点してしまえば新布陣や個々のパフォーマンスをフラットな視点で評価できなくなる。ビハインドという事実がチーム全体のバランスを微妙に変え、知らずしらずのうちに選手たちは前掛かりになっているのだから。

まずは0-0の時間をどれだけ作れるか。これはアタッキングフットボールにかかわらず、どのチームでも共通のテーマのはず。90分間という時間制限があり、そもそもたくさんのゴールが決まる競技ではない。当たり前の話だが、先制点が持つ意味はとても大きい。

もちろん0-0ではなく、1-0や2-0にできれば理想的だ。ただし、それを狙うあまり攻撃を急いでゲームコントロールを放棄しては意味がない。1-0を狙って0-1になってしまうのは愚の骨頂である。

 

 

チアゴ・マルチンスや實藤友紀、あるいはGK高丘陽平には冷静なラインコントロールとプレー選択を期待したい。内容よりも結果をきっかけに自信を失い始めているからこそ、まずはスコアレスの時間を長くすべきだ。

 

 

アジア行きの切符を獲得できるかもしれない今節

 

守っているだけではマリノスではない。

しかも観客動員制限が大幅に緩和されるホームゲームで守り勝つなんて、マリノスらしくない。どこかのタイミングで溜めていた足を爆発させるような展開に持ち込みたい。

ガンバ守備陣に風穴を開けるのは先発の面々か、それとも途中出場で新たなエネルギーを吹き込む選手か。

セレッソ戦を累積警告による出場停止で見守るしかできなかったマルコス・ジュニオールは、順当ならこの試合で先発復帰するだろう。天野純という選択肢もないわけではないが、最近の練習ではボランチに入るケースも多々見られる。

 

 

定位置のトップ下に入るマルコスに合わせて考えた時に、やはりエウベルやレオ・セアラは欠かせない人材ではないか。ブラジル人同士の息の合ったコンビネーションで局面を打開し、目下得点王まっしぐらの前田大然を合わせたアタッカー陣でゴールを狙う。

 

 

前田には残り5試合で最低2ゴールという“ノルマ”もある。

 

ヨコエク

 

レアンドロ・ダミアンとの得点王争いが熾烈を極めているが、チャンスの数でいえば優位かもしれない。チームとしても「大然に点を取ってもらいたい」(杉本健勇)という暗黙の了解が出来つつある。ならば前田はその期待に応えねばならないだろう。

 

 

反対に、途中出場の選手がフィーチャーされる展開なら、前出の天野や杉本、あるいは仲川輝人といった名前がすぐに思い浮かぶ。ガンバ戦で主役の座に躍り出るのは、いったい誰だろうか。

 

 

順位表を見ると悔しさが募るのが本音ではあるが、冷静に考えると今節は3位以内(あるいは2位以内の可能性も)を確定させるチャンスのある試合だ。2020年に味わった悔しさを晴らすためにも、2022年にアジアの舞台に立つ権利を得ることには意味がある。

常に前進するために、今節のガンバ戦はとても重要だ。

 

 

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