「ザ・ヨコハマ・エクスプレス」藤井雅彦責任編集:ヨコハマ・フットボール・マガジン

11連戦の始まり [J7節仙台戦プレビュー] (藤井雅彦) -1,806文字-

 

ベガルタ仙台戦から始まる連戦が今シーズンのマリノスの成績を大きく左右するだろう。ここからリーグ戦とACLが並行して中2日と中3日のゲームが最大で11連戦、期間にして約1ヵ月間続く。そうなるにはACLのグループリーグを突破しなければならず、15日のACL第5節・全北現代戦が最初のヤマ場となるが、自力で勝ち上がる可能性を残しているのだから全力投球しない手はない。がしかし、勝ち進めば連戦が増えてコンディションは苦しくなる。最大11連戦になる条件には、ACLのノックアウトステージに進出することが含まれており、当然のごとく負担は増える。
4-2-3-1_兵藤

11連戦の内訳はACLのグループリーグ残り2試合と決勝トーナメント1回戦の2試合、そしてリーグ戦7試合である。リーグ戦の話に移すと、いまから7試合を消化した頃には順位表の色分けがある程度終わっているだろう。マリノスは昨年同様に優勝を狙う位置にいるのか、あるいは勝ち点が伸び悩んで中位に沈んでいるのか。選手やチームは勝てば勝つほど勝ちたくなる生き物で、負けが先行すると残念ながらモチベーションは上がらない。悲しいかな、それが現実だ。連戦が終わる頃、マリノスはどのような表情を見せているのだろうか。

試合に向けてしっかり準備期間があるのは今節の仙台戦を最後にしばらくない。そのタイミングで樋口靖洋監督は「少しトレーニングのパターンを変えた」と語る。最近は週の頭からゲーム形式の練習を行うことが多かったが、今週はオフ明けの水曜日にゲーム形式を実施しなかった。試合前日の金曜日もシュート練習などで汗を流しており、紅白戦は木曜日だけだった。

注目は主力組のメンバー構成だが、顔ぶれは前節のアルビレックス新潟戦と変わらず。ボランチには引き続き小椋祥平が入り、中町公祐とコンビをくんだ。メルボルン・ビクトリー戦で左太もも裏を痛めた藤本淳吾は今週も別メニューで過ごし、復帰は早くても来週になるためベンチ入りしない。また、7日から日本代表候補合宿に参加していた齋藤学も10日以降は元気にメニューを消化しているため、試合出場に支障はなさそうだ。

 

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仙台4-4-2 それよりも流動的なのが対戦相手である。9日、今シーズン新たに招聘したグラハム・アーノルド監督が退き、手倉森誠体制からコーチを務めていた渡邉晋ヘッドコーチが昇格する形で監督に就任した。ポゼッションスタイルを目指したがうまくいかず、元通りのスタイルに原点回帰するようだ。そんな仙台に対して、マリノスは相性が良いとは言えない。昨季の対戦成績だけ見ても2戦2分と勝利がなく、いずれもスコアレスドローでゴールを奪えていない。仙台戦ではいつも中盤で肉弾戦が展開され、互いになかなか決定打が生まれない。「相手の良さを消すのがうまいチーム」(樋口監督)であることが仙台を苦手としている最大の理由だろう。

指揮官の言葉を借りるならば、まさに「いまじゃなくていいのに…」である。状態の悪い仙台であれば勝機を見出しやすかったが、昨季までの粘り強い姿に戻るとしたら手強い相手だ。メンバーは大きく入れ替わっていないため原点回帰をするのはそれほど難しい作業ではないだろう。気分一新していることも不気味だ。勝敗は別にして、おそらく簡単な試合にはならない。昨季までの例にならえば、膠着した時間帯が長くなるはずだ。

連戦に向けて弾みをつける意味で勝ち点3がほしい試合なのだが、なかなか狙い通りに事は進まない。願いを叶えてリーグ戦4試合ぶりの勝ち点3をつかみ取るには、大黒柱・中村俊輔か新進気鋭の日本代表・齋藤に一撃を期待したいところ。期待値の高さからすると、ここまでの彼らの働きぶりは少々物足りない。あるいは「前節は自分のせい」と悔やむ伊藤翔のリベンジを待ちたい。

 

 

 

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