「ザ・ヨコハマ・エクスプレス」藤井雅彦責任編集:ヨコハマ・フットボール・マガジン

集中を切らさずに戦えば、個人能力では圧倒的優位だが [J 3節 徳島戦プレビュー] (藤井雅彦) -1,363文字-

先日の広州恒大戦前から樋口靖洋監督はしきりに「コンディションの良い選手を使っていきたい」と繰り返す。個人的にはサッカー監督が使う言葉の中で最も意味を持たないと考えている。つい数週間前、マリノスではコンディションの良い選手がベンチにも入らず、まだコンディションが上がりきっていない選手が先発でピッチに立っていた。絶対能力値を無視できないのだから、コンディションは大義名分でしかない。

4-2-3-1_開幕 水曜日の広州恒大戦ではコンディションの良い選手がピッチに立ち、まずまずのパフォーマンスを見せた。負傷交代した兵藤慎剛を除き、その面々はいまも好調をキープしていると見ていい。価千金のゴールをマークした端戸仁、中盤での守備力を発揮した小椋祥平、そしてレギュラーCBに勝るとも劣らない能力を見せたファビオ。彼らは明日の徳島ヴォルティス戦に先発する権利があると言える。

でも、指揮官がその選択をすることはないだろう。リーグ戦2連勝を達成した11人はいずれも同じ顔ぶれだった。そのメンバーをあえて崩してACLに臨み、まずまずの成果を手にしたとはいえ、リーグ戦2連勝の価値はもちろん色褪せない。あるいはミッドウィークの試合を回避した選手たちのほうがコンディションが良いという判断か。何はともあれ、徳島戦に臨む11人は前節の清水エスパルス戦と変わらない見込みだ。

試合に臨むにあたり指揮官は「かなりターフなゲームになる」と覚悟を決めている。中2日という日程の厳しさはいまさら語るまでもなく、その相手が広州恒大だったという事実は大きいだろう。その試合での守備陣の奮起は感動に値するものだったが、だからこそ消耗している可能性がある。肝心な場面であと一歩が出ない、あるいは疲労によって思考停止する。そうした状況で格下相手に予想外の失点を喫する。ありがちなパターンといえるだろう。

 

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徳島4-4-2 集中を切らさずに戦えれば、個人能力では圧倒的優位な立場にある。J1昇格初年度の徳島はここまで勝ち点はおろか得点すら奪えていない。「ボールを回されることにも慣れている」(樋口監督)が、それはあくまでJ2での話。J1のボール回しについてこれない場面があれば、その一瞬のミスが命取りとなる。J2には中村俊輔のようなキッカーはおらず、齋藤学クラスのアタッカーもいない。

この試合が終わると、チームはスタジアムからダイレクトで成田空港に向かい、メルボルンへと旅立つ。次の公式戦は中2日でACL第3節が組まれており、長時間移動を強いられるアウェイゲームをどのような気分で迎えるか。「大きな意味を持つゲームになる」(栗原勇蔵)のは間違いなさそうだ。

 

 

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