「ザ・ヨコハマ・エクスプレス」藤井雅彦責任編集:ヨコハマ・フットボール・マガジン

残されたタイトルはリーグ戦のみに。 チアゴは「ベストを尽くす」と言葉を振り絞った [ルヴァン杯プレーオフ第2戦 札幌戦レビュー]

 

あと一歩届かず、ルヴァンカップ敗退

 

「今日はいろいろなことが重なった状況で臨んでいたので、マリノスに関わる人のために勝つ姿を見せないといけなかったのですごく残念」

 一矢報いるゴールを決めた水沼宏太は唇を噛んだ。

 

 

チームにとって難しい状況だったのは間違いない。10日にポステコグルー監督の退任が発表され、松永英機アカデミーダイレクターが監督として暫定的に指揮を執ることに。この試合までの準備時間は11日と12日のわずか2日間で、サッカーの方向性が変わらないとはいえ気持ちを整理するには時間がなさすぎた。

水沼はこう続けた。

「最近のマリノスを築き上げてくれたボスがいなくなった影響は間違いなくあるけど、それを抜きにして絶対に勝たなければいけない試合だった。それを言い訳にしてはいけない。強いチームでいるにはこういう試合でも落とさないことが求められる。それはプロフェッショナルとしてやらなければいけないことなので悔しい」

 

 

監督退任が実際に影響を及ぼしたのか、それともただの力負けなのか、誰にも断定できない。あったと言えばあったことに、なかったと言えばなかったことになる。だからこそ勝たなければいけない一戦だったし、監督退任に理由や言い訳を求めるのはそもそもナンセンスだ。

一方で、水曜日の天皇杯で120分間戦った末に敗戦を喫したのは明らかな誤算で、フィジカル面で難しいゲームに。それはレオ・セアラを先発起用できないことに始まり、またしてもゲーム立ち上がりが悪かった。

 

 

それでも苦しい状況をはねのける強さを見せたかったが、一歩届かなかった。後半立ち上がりに天野純の股抜きドリブル&クロスから放った仲川輝人のヒールシュートが決まっていれば、あるいは1点を返した後の水沼の直接FKがバーではなくゴールネットに吸い込まれていれば、と思わずにはいられない。

わずかな差ながら、プレーオフステージで姿を消すことになった。

 

 

ダブルトップ下の新布陣は機能せず

 

編成面での難しさは否めなかった。オナイウ阿道が日本代表に、前田大然がU-24日本代表に選出されていたため不在。前述したように天皇杯で120分間プレーしたレオ・セアラを先発させるにはリスクが大きかった。

そこで松永監督はマルコス・ジュニオールと天野純をダブルトップ下に並べる新布陣でこの一戦へ。過去にポステコグルー前監督も採用したことのある布陣ではあるが、前向きな手ごたえを得られた試合はなかった。

 

 

この札幌戦でも、立ち上がりからスムーズさを欠いた。戦前から懸念されていた相手最終ラインの背後で駆け引きするプレーとプレーヤーが見当たらない。これによって前からプレスをかけたい札幌にとって願ってもない展開となった。

 

 

ヨコエク

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