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「ちょっとやりすぎ」【大東京書簡第5信/後藤】

 

FC東京ではメンバー外だった鈴木準弥。FC町田ゼルビアでは堂々たる主力に。

◆鈴木準弥に注目

 前回の最後に郡司さんが今後の東京勢同士の対戦について触れてくれまして。あらためて整理すると4月13日のJ1第8節東京ヴェルディvs.FC東京が初っ端で、そのあと4月21日に同じ味の素スタジアムで第9節FC東京vs.FC町田ゼルビアがおこなわれると、こういう日程になっています。その次は5月19日の“東京クラシック”、野津田でのFC町田ゼルビアvs.東京ヴェルディまで1カ月空いてしまうので、私の担当である今回はひとつ、FC東京が対戦するふたつのクラブそれぞれとの関係を意識して書いてみようかと思います。

 放っておいても火花が散る(というか火花が散るので放っておけない)ヴェルディと東京の関係に比べると、そもそも争いの種がなく、郡司さんが言うように、正直町田と東京の対戦でダービーマッチの雰囲気が初回から漂うかというと、そうはならないかなと思います。ただ人的交流があって、ここまでスタッフや選手が東京から町田に流れている経緯がありますし、東京で全然出番がなかった鈴木準弥がいまや町田の顔となるほどの大活躍、東京視点ではリベンジされちゃうかも……というドラマはあります。

 個人的には準弥さんについては思い入れがあります。ブラウブリッツ秋田から加入してきた時点で、その人柄が気に入りましたし、砲台のような独特のプレースタイルも、どこかで使い所があるのではないかと思っていました。まさかそれが、黒田剛監督を連れてきた町田にぴったりと当てはまるとは思ってもみませんでしたが……。

 昨シーズンの前半戦、まったくメンバー争いに絡めず、しかし練習試合で結果を出しつづける鈴木準弥と野澤零温を追っていました。野澤は松本山雅FCへと期限付き移籍ののち今シーズン東京に復帰しましたが、鈴木は町田へと完全移籍して昇格の立役者となり、今シーズンもここまで全試合に出場して1ゴール1アシストという数字以上の働きぶり。昇格を果たすところまでおしまいではなく、郡司さんが言うように昨シーズンよりもさらに予算を投じた編成にあってこれだけ突出しているところがすばらしいですね。

 それにしても町田が強い。藤田晋代表取締役社長兼CEO就任時の記者会見で「スピード感を上げたい」と言っていたことを思い出します。藤田さんとしてはもっと改革を進めて現場もどんどん強化してくれてかまわないのに、と思っていたところ、遅々として進まない。直接手を下して黒田監督と金明輝ヘッドコーチを招聘、大型補強を敢行して一気にJ1に上がると、J1でも4節終了時点で1位。資金力があることが前提ですが、トップダウンで即決即断となると、こうも速やかに物事が進むものなのか。

 町田は方針がはっきりしていますよね。藤田さんは最初から「まずは勝ってJ1に上がる、そうするとほかのものがあとからついてくる」と言っていましたし、優勝することが先決。今シーズンの最終順位がどうなるかわかりませんが、順位表の真ん中より上に行くことは確実でしょう。現時点でインパクトは十分ある。

FC東京時代の鈴木準弥。

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