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【有料記事(無料期間終了)】“サッカー人”石川直宏最後の挑戦、言葉からプレーへ(2017/08/03)

現役引退発表記者会見が終わったあと、クラブハウスの廊下で“主役”にばったり出くわした。
「向こうもあったのに、こちらに来てもらってすみません」
柔和なナオスマイルで8月2日の主に謝られた。一介のライターにも石川直宏は優しい。

「石川直宏 現役引退記者会見」は17時から小平グランド。「第41回 日本クラブユースサッカー選手権(U-18)大会決勝」は18時から味の素フィールド西が丘。両方を同時に取材することはできない。ユースが日本一になる瞬間を見届けたい気持ちはあるが、クラブに長年尽くしてきた功労者に直接問いを発し、一日を見守ることも等しく重要だ。間際になって他媒体から2件、石川選手の記事を書いてほしいという依頼が舞い込んだこともある。もろもろを勘案して小平行きを決断したまでだが、FC東京U-18にこだわる書き手の心中を察してひと声をかけてくれるのが石川直宏という男なのだろう。だから彼は慕われる。

まさかの負傷で出遅れた岡崎慎も石川を敬愛するひとりだ。
「きのう(8月1日)チームに報告がありました。正直、ぼくはちっちゃいときにあまりFC東京というチームを知らなくて、でも石川(直宏)選手は知っていた。日本代表にも入っていたし、父もサッカーがさほど好きなわけではないのに知っているというレベルの選手で、たまに味スタに試合を観に行っていた記憶もあります。いまぼくが18歳で石川選手が36歳なので、ちょうどひとまわり上。18年間もプロでサッカーをしていたとは、考えられない。ましてや一昨年からけがをしていたのも知っていますし、J3であれだけ活躍をしてまた再発してしまったという背景があるのも自分は知っています」
何度も大けがに苦しみ、その度に再起して長い現役生活を過ごしてきた石川に対して、岡崎は「信じられない」という感嘆の表情になっていた。

岡崎は高校三年生だった昨年、FC東京U-23とFC東京U-18、二足の草鞋でフル回転した。その代償に半月板を傷め、沖縄でおこなわれた第一次キャンプでは石川、米本拓司とともに“リハビリ仲間”となった。
「自分がきついときに、無言で、リハビリに取り組む背中で示してくれたのがナオさん(石川)だった。なんというのか、

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