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【有料記事】野澤英之「このままでいいのかと思いながら、ことし一年やってきた」(2016/11/06)

AC長野パルセイロを駒沢オリンピック公園総合運動場陸上競技場に迎えたJ3第28節。FC東京U-23は4バック系布陣の守備網に3-4-2-1の長野を嵌めにくいのか、よくゴール前に侵入されていた。フォーメーションを3バックにしたセカンドハーフも攻め込まれる場面は多かったが、粘り強く対応できるようにはなっていた。
両サイドバックの柳貴博と小川諒也を高い位置に出し、ドイスボランチは平川怜と鈴木喜丈。3バックの両端に位置するストッパーは4バックのときにセンターバックだった坂口祥尉と岡崎慎が務め、そしてボランチだった野澤英之は3バックの中央に位置した。攻め上がるわけではないのでスイーパーと呼ぶべきなのだろうが、さかんに攻撃参加しなくとも便宜上リベロと呼ばれることも多いポジションだから、そう言ってもいいだろう。すらっと細長い体躯には、往時のフランツ・ベッケンバウアーを想起させる優雅な雰囲気が漂う。“リベロのノザ”とでも呼びたくなる。

もちろん激しさを持ち合わせたうえでの話だが、野澤は落ち着いていた。後半38分、長野のロングスローからの流れで上がった浮き球を圍謙太朗が前に出て弾いた、そのボールを相手にシュートされてしまう場面があった。このとき、野澤はそれを予測したかのように、あらかじめゴール前にそっと移動して圍の後方を補い、シュートをなんなく蹴り返した。圍が場所を空ければそのスペースをカヴァーする。リベロとして原則を守ると、それが危機回避になった。
「前半は、相手のフォーメーションもありましたし、けっこうウラがやられている印象があったので、自分がディフェンスに入ったらカヴァーを意識してやろうと。(坂口)祥尉とマコ(岡崎慎)がいるので、そこは強く行かせて、自分がしっかりカヴァーをやろうと思っていたので、あのプレーも圍(謙太朗)くんが出たところのカヴァーをしっかりできただけかな、と」
ボランチ、アンカー、サイドバック、センターバック、3バックの一角と、およそ守備的なポジションの多くを経験してそれぞれに適合するうちに、野澤はプレーの幅を拡げてきている。久保建英J3デビューに沸く駒沢で、チームを最後方から引き締めていたのは、22歳の野澤だった。
複数のポジションをこなすことで起用されやすくなるメリットは確かにある。しかし本来強調したい特長は、3バックに入ったときのよさだけではない。

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「みんな緊張感を持ってやれていると思います」
ある日の小平で、

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