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【今週の小平】Preview◆三田啓貴「柏はフットボール。でもあしたはおれたちの“カルチョ”が勝つ」/FC東京対柏レイソル前日練習後の取材から(2015/05/29)

Preview◆三田啓貴「柏はフットボール。でもあしたは“カルチョ”が勝つ」/FC東京対柏レイソル前日練習後の取材から

 
リーグ戦3連敗中のFC東京は、あす5月30日、ホーム味の素スタジアムで柏レイソルと対戦する。
ACLを勝ち進む柏だが、彼らが注目されるのは、吉田達磨氏を新監督に迎え、これまでトップと育成年代で異なっていたスタイルを一貫したものとして確立しつつあるからでもある。ボールを大事にして支配力を高めるサッカー。
ACLプレーオフではシュート数47対7という圧倒的な差でチョンブリを下し、本戦進出を決定したが、じつはこれが東京にとっての狙いめでもある。
柏対チョンブリのスコアは3-2だが、決着がついたのは延長戦に入ってから。90分間は2-2だった。チョンブリはシュートを雨あられのように降らせる柏の猛攻に耐えたのだ。ボールを持たせてカウンターを狙う東京にとってみれば、相性は悪くない。

ここで注目したいのは中盤だ。羽生直剛が負傷、梶山陽平がひざに問題を抱える現状では、対柏戦の中盤が三田啓貴、米本拓司、高橋秀人によって構成されることは、まずまちがいない。

武富孝介と工藤壮人は同じ年、茨田陽生はひとつ下。監督の吉田達磨氏を含めて知った顔の多い柏レイソルに対して、自分は育成年代で勝ってきたからか、コンプレックスはなく、むしろ自信を持っているのが三田だ。
「柏は守備に弱点がある。セットプレーでもやられていて、いまの東京からすると相性がいい」

優位に立てるとの確信。しかしこれは過去、ユース年代での実績に裏打ちされたもので、相手をリスペクトしていないわけではない。むしろ三田は柏に畏敬の念を抱いていると言ってもよい。
「日本の“サッカー”は総じて戦術の概念が薄いのではないかと思うときがあります。しかし、ユース年代も含め、いままで観てきたなかで(吉田)達磨さんはいちばんいいサッカーをしている。興味深いのは達磨さん。バルサのようにジュニアから一貫して同じサッカーをしているクラブは、日本にはあまりない」
対戦相手としての考えを離れれば、三田は純粋な興味で柏レイソルを眺めている。あのポセッションサッカーと、それをクラブのスタイルにしつつある点が、そうさせるのだろう。

その相手に勝ちたいという純粋な気持ちが、さらに三田のモチベーションを高める。
「柏はフットボールですね。でも東京はカルチョ。あしたはおれたちのカルチョが勝つ」

競技の本質を考えぬき、高い基礎技術でボールを保持し、試合状況に応じた変化もできる。そんな本物の“フットボール”を遂行する柏に対し、時間の概念があり、失点しないことからスタートするマッシモのカルチョ。東京のカルチョはフットボールに対して異なる概念だからこそ、柏を凌駕(りょうが)できる可能性を秘めている。

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