【速報/レビュー/レポート】2013Jリーグディビジョン1 第32節第1日 FC東京対湘南ベルマーレ_第1報(11/23)[5,533文字](2013/11/23)
◯マッチレビュー
試合後にFC東京のゴール裏から大竹洋平のチャントが聞こえてくるとそれを湘南ベルマーレのゴール裏が返す。それ自体がどうと論評するつもりはないが、この試合を考えるときに対戦相手の湘南のことを考えなければ語ったことにならないのではないかとは思う。
試合開始前の時点で既に湘南にJ1残留は絶望的だった。ヴァンフォーレ甲府が三連敗して湘南が三連勝したとしても、14も離れた得失点差を埋めるのは指南の業だ。それでも甲府が二連敗をしたうえで二連勝して最終節にホームへと帰れば、最終戦のタイムアップの笛が鳴るまではJ2降格の瞬間を先に伸ばせる。タイトルがかかっていないどころか降格がほぼ決まっていても、戦う理由を見出し、常に相手にとって危険な存在でありつづけるのが湘南というチームだ。
湘南は負けて降格が決まってもなお闘志を失わない。この日、湘南で唯一のゴールを決めた高山薫は試合後、こう言った。
「残留に粘れなくて二試合も残っているのに“ベルマーレ”と応援してくれるのは感謝しないといけないと思ったし、試合の悔しさがさらに悔しい、そういう気持ちになりました。(残り二試合は)いままでやってきたことをもう一回しっかり練習で積み上げて、勝つしかないと思う。観にきてくれる人たちのために点を獲って勝ち、いい試合をしたいと思います」
結果への責任を問われつづける日本代表の現場から帰京、タイトル争いに関係がなくなっても試合に勝つことをモチベーションにしなければならないと、次善の目標に気持ちを高め、この試合に備えていた権田修一に「後半、攻撃に参加する人数が増えた湘南からゴールを守るのに的を絞りづらくなったのではないか」と訊ねると、次のように答えられた。
「もう前半からそれはわかっていたことですし、そもそも湘南は前にどんどん選手が出てくるのが湘南のスタイル。それが尻すぼみになるのではなく、尻上がりに増えてくる。前に人数をかけたのもありますけど、どんどん前に選手が出てこれるだけのエネルギーがある、走りきれる。前半からさぼっているのではなく、走っているのに、最後まで走りきれるのが湘南のすごさだと思うし、それを一年間つづけてやっている」
だからどこも苦戦する。この日、持ち味を出せなかった三田啓貴に、守るときに5-4-1になってぴったりついてくる湘南の守備はタイトでよかったからうまく東京が攻められなかった面はあるのではないかと訊ねると三田は認めた。
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