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【今週の小平/Preview】森重真人、高橋秀人、米本拓司、長谷川アーリアジャスール、渡邉千真、石川直宏、ランコ ポポヴィッチ監督/J1第28節対鹿島プレビューほか(2013/10/05)[6,647文字]

◆東京国体について

ランコ ポポヴィッチ監督が東京選抜(少年男子)の東京国体優勝を祝福した。
東京選抜(少年男子)にはFC東京から奥原崇監督のほか、FC東京U-18の選手を八名送り込んでいる。

――奥原さんが指揮を執り、キーパーと4バックとボランチをFC東京U-18の選手で構成した東京選抜が、セレッソとガンバの連合軍である大阪を下して優勝しました。どのようなお気持ちですか。
「すばらしいことだと思います。
わたしたちのクラブから監督が出て選手も出てという東京代表が大きな成功、大きな結果を手にしたことはすばらしいと思います。
彼らにとっても優勝の体験がこれからに生きてくると思います。こうやってFC東京の下部組織の選手たちが活躍しているわけですから、それをトップチームにも活かせるように、クラブがやるべきことは、いい指導をしていい選手を輩出すること。そこをつなげていけるように継続してやっていくべきだと思います」

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◆Preview

FC東京は本日5日、国立競技場にて鹿島アントラーズと対戦する。
残り試合すべてを見渡したときに最強の対戦相手であることはまちがいない。
しかもこの直接対決に勝てば東京は4位に浮上してACL出場圏を射程内に捉える。
絶対に負けられないというフレーズがいくら食傷気味であっても、この一戦は絶対に負けられない試合であるとしか言いようがない。

もちろんカッとなりすぎてはよくない。
東京の四連勝を振り返れば、いずれも落ち着いた試合運びや、状況判断、対処が最終的な勝利につながっている。
高橋秀人は言う。
「いままで、アウエーの地で勝点1を拾ってこれればよかったのに、負けて帰ってきた試合がある。しっかりバランスを見ながらプレーしたいと思います」
焦って勝点すべてを失っては意味がない。
ハートは熱くなければならないが、ブレインは冷静さを保つ必要がある。

いっぽうで、好調時に弛緩する癖があるのはこのチームの悪い癖だ。
相手が格上のときはおのずと緊張感が保たれるのでそうそう悪癖は露呈しないし、それはこの対鹿島戦でも同様だと思うが、過去には格下のチームを相手に思わぬ敗戦を喫したり、順位争いの要となる試合に負けてきた前科がある。ここでチームが踏みとどまるよう、ファンはしっかりと監視しながら応援する必要がある。

4日のセットプレー練習中には、傍目にも散漫になっていた瞬間があった。すると直後にランコ ポポヴィッチ監督からカミナリが飛んだ。
「やってもやらなくても同じなら上がったほうがいいぞ!」
直後に空気はぴりっと引き締まり、ポポヴィッチ監督もこまかく止めて秘策を授けるなど、より具体的なトレーニングに移行していた。

長いシーズンの一瞬だけを切り取れば、そういう瞬間もあるのだろうが、悪いピークが大事な試合に合ってしまっては一大事だ。
しかしきょうの舞台は練習場ではなく公式戦のスタジアムである。よくないリズムになってしまわないように、スタンドから熱を送ることはできる。
ホーム国立のアドバンテージを高橋は次のように表現した。
「レッズ戦でも大きな声で、喉を嗄らして応援してくれた結果もあって勝つことができた。独特の雰囲気をつくり、ファンのみなさんはぼくたちが勝つと信じて応援してくれるでしょう」
鹿島に勝つには総合力で上回らなくてはいけない。その一端はファンも負っている。

ピッチ内に眼を向ければ、4-2-3-1の「3-1」の部分が好調だ。
「練習でも距離感がいいときは流れるような攻撃もあるし。二列めの選手も点を獲っていて、それによってチームとして複数得点(を毎試合)できていると思うので、そこはつづけていければと思います。
もっと高いクオリティを出してやれば鹿島を相手にしても点を獲れると思う。高い意識を持って試合に臨めば得点できると思うので、継続してやっていきたい」
渡邉千真はこう言った。

渡邉とタテの関係になるトップ下の長谷川アーリアジャスールは4人の動きについて次のように言っている。
「千真くんが抜けるのか落ちるのかによっておれの動きも変わってくると思いますし、ヨネ(米本拓司)とヒデくん(高橋秀人)にはできるだけ前を向いて前にパスを出してくれと言っています。自分が相手のボランチとセンターバックのあいだ、バイタルエリアでボールをもらって前を向けば、千真くんも動き出してパスを出せますし、自らゴールも狙える位置にいると思いますので、うしろの選手にはできるだけ、ヨコ(の動きやパス)だけでなく、ドリブルでちょっとつっかけてくれと。そうすれば相手も出てくると思うし。そういう動きがここ最近できていると思うので、一枚、二枚めをはがす動きができているぶん、おれも千真くんの近くでできている。それができなくなってボールをもらいに下がってくるようになると千真くんも孤立してしまう。その辺はうしろの選手にも要求しています。オレと千真くんだけでなく、慶悟、ルーコンと足許が巧く技術の高い選手がいますし。その四人プラス太田(宏介)選手、コーちゃんだったり、(徳永)悠平さんが上がっていってクロスだったり、いろいろなヴァリエーションが出てくると思う。中でかきまわしながらサイドを使ったり、サイドを使うふりして中にスルーパスを出したり、そのときの状況に応じて出せれば相手にとって怖いんじゃないかと思います」

――そのヴァリエーションの多さが戦い方の幅になって……
「そうですね。1-0になっているか2-0になっているか、状況によっては、お、相手が真ん中に来ているな、と思ったらサイドを使うかもしれないし。それが0-0でちょっと焦ったり、心に余裕がないときにはプレーがまわらない。そういう意味でも先制点だったり、得点を早い段階で獲ることは大事なんじゃないかと思っています」

これまで先制ゴールでリズムを掴んできた東京。
守備については4日の前日練習でも丁寧に取り組み、鹿島の三列めからの飛び出し対策をも済ませている。しっかり守り、先制点を奪えれば、それが理想的な試合運びだ。
国立での対鹿島戦といえば、過去に天皇杯やナビスコの準決勝で敗れた記憶が甦る。
改装前の国立で、ぜひ鹿島に勝ってシーズンを終えたい。

◆コメント

○ランコ ポポヴィッチ監督

チャン ヒョンスは間に合いませんでしたが、加賀はいい準備ができている。こういうときに備えて鍛え、気持ちの面でも強いものを持っている。
(ミニゲームで右サイドを駆け上がったが?)
思い切りのよさはいいのですけれども、それを空回りさせるのではなくしっかりコントロールするよう求めていきたい。
彼だけではなくチャンスに入ってクロスを上げるにしても結果にむすびつけて終わることが大切です。

(今季リーグ戦では最後の国立になるが?)
国立で最後の試合だからとみなさんに記憶してもらうのではなくて、あの試合はすごかった、それが国立で最後の試合だったと、そのくらいの強い印象を残せる試合にしたい。国立で今シーズン最後というのはわたしたちにとってもモチベーションになる。そこは意識したい。

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