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【トーキョーワッショイ!UC/詳報】第68回国民体育大会 サッカー競技 成年男子 決勝戦 岐阜県対東京都[5,103文字](2013/10/02)

Contents

◆レポート

◆FC KOREAの四人衆

◆青赤な調布

◆主なプレーヤーの顔ぶれ

<試合経過>

◆リザルト

メンバー

<東京都先発フォーメーション>

<岐阜県先発フォーメーション>

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◆レポート

2日、味の素スタジアムで国体サッカー成年男子決勝がおこなわれ、岐阜県が1-0で東京都を下して優勝した。東京選抜は13年ぶりの優勝(2000年は富山県との同時優勝)をめざしたが準優勝に終わった。

岐阜選抜はFC岐阜SECONDの単独チーム。そもそも昨年開催された岐阜国体に向けて成年男子を強化する目的で組織されたチームであり、今年度も単独での参加は当然だったのかもしれない。地元開催の国体では結果を残せなかったが、翌年の今大会で強化が実ったことになる。
主力のMF7番柳澤隼は柏レイソルの下部組織からはじめてトップチームへの昇格を果たした太陽王の申し子。出場機会がほとんどなく、Jリーグで花開くことはなかったが、昨年「強化選手」として招聘され、FC岐阜SECONDの中心選手となった。そのテクニックと敏捷性は地域リーグのレベルでは抜けている。

個の質が高い単独チームの岐阜選抜に対し、東京選抜は関東リーグ1部から東京都リーグ1部までの三カテゴリーから集めた純粋な選抜チーム。しかしこの三~四年メンバーがほとんど変わらず、漆間信吾監督がつづけて指揮を執っているため、むしろ組織力は熟成の域にあり、「個の岐阜対組織の東京」という構図となった。

柔軟なパスワークでボールを廻す東京にとって、セットプレーとカウンターを狙ってくる岐阜とは相性が悪い。序盤、立てつづけにあったチャンスを逃すと、前半19分、柳澤が蹴った右コーナーキックをFW9番緑悟がニアに飛び込みダイレクトに足で蹴り込んで岐阜が先制。東京は後半、キックオフから相手を崩し、ペナルティボックスに深く入り込んで何度となくチャンスをつくったが、35分ハーフと短い試合時間への焦りもあり、フィニッシュが決まらない(「後半はサイドバックもボランチももう少し高い位置でプレーしようと送り出し、押し込めたと思うのですが、最後、1点が遠かったですね。気持ちも前へ行ったと思います」と漆間監督)。アディショナルタイムのパワープレーも決定力を欠き、とうとう岐阜ゴールを落とせず、1-0で屈した。

しかし水際でのからだを張ったディフェンスを含め、岐阜が強いチームであったこともたしか。純然たる社会人選抜チームで決勝戦まで進み、最後は両チームとも四日連続の四連戦(70分だが延長まで行くと結局90分)でばてばてとなるなか、その強い岐阜に僅差で敗れての準優勝は、悔しくも評価に値する、東京の社会人サッカーのレベルを示す結果ではないだろうか。
中央でプレーメーカーとしてゲームをコントロールしつつも自らもフィニッシュに絡んでいたMF7番本橋良太は「正直、決勝まで行けると思っていなかった。胸を張って帰りたい」と語ったが、偽らざる気持ちだろう。

一回戦からすべてPK勝ち(それもアディショナルタイムに追いついてのPK戦も含み)で決勝に進み、決勝もタイムアップの寸前まで決定機をつくって粘りながら敗れた今大会を振り返り、漆間監督は次のように言った。
「ほんとうにサッカーの難しさ、怖さを知った大会でした。いっぽうで、最後まで諦めずに戦うことが結果にむすびつくことを学んだ大会でもありました」

漆間監督の気持ちは選手に乗り移っていたようだ。
FW11番山下真太郎が交替で退いたあとにキャプテンマークを受け継いだDF4番安藤謙は「毎週来られないメンバーもいるなかで韓国の遠征も行かせてもらっていい環境でやらせてもらい、チームとしてまとまった。漆間監督のもと、地元開催まではやりつづけようと思ってきたので、ここまで来ることができてよかった」と言い、山下との交替で途中出場した岡元思帆は「漆間監督も自分たちの努力がすべてだと言っていた。日頃の練習がない日も各自が走って努力していたので、いままでの国体以上にコンディションよくできた」と言い、手応えを表現している。

しかしそうは言いつつも負けは負け。根本的な使命感が東京選抜を突き動かしていただけに、悔しさには拭い切れない部分もある。
岡元は次のように言った。
「最近は単独チームが増えていますが、選抜チームこそが国体の意義をあらわしているのではないかと思います。選抜で東京を背負って戦うこと(の意義)を証明するために、きょうはなんとしても優勝しなければいけないとミーティングで話をしていました。そういう意味では東京を背負って立ち、優勝できなかったことについては悔しさしかない」

世界各国の代表チームから32カ国が出場する大会がワールドカップなら、47都道府県から16の自治体が出場する国体はその国内版である。ふだんのクラブとは異なり、各都道府県の選抜チームが地域を背負って立つことで、その競合に意味が生まれるというわけだ。

多くのチームからモザイク模様のように集まった東京選抜は、国体の意義を体現した「リアル東京」である「オール東京」。しかも都リーグの選手も含む構成。大会の意義をかけて戦った東京選抜の奮闘に敬意を表したい。

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