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【無料記事】レポート/リザルト◆Jユースカップ準決勝、FC東京U-18無念の逆転負け! ベスト4で散る(2014/12/20)

レポート/リザルト◆Jユースカップ準決勝、FC東京U-18無念の逆転負け! ベスト4で散る  

 

 

この長澤の突破から先制点が生まれたが……。

この長澤の突破から先制点が生まれたが……。

○想定内のゲーム運びも最後はガンバの決定力に屈する

12月20日、ヤンマースタジアム長居で「2014Jユースカップ 決勝トーナメント 準決勝」二試合がおこなわれ、第一試合に出場したFC東京U-18はガンバ大阪と対戦。後半17分に途中出場の渡辺龍が先制ゴールを決めたものの、その後2ゴールを許して逆転負け。ベスト4で姿を消し、試合後は3位表彰に臨んだ。
右サイドを駆け上がった長澤皓祐のクロスを渡辺が中で合わせて決め、1-0としたあと、うしろめにコンパクトにする陣形をとり、前に出てくるガンバ相手のカウンターを狙ったが、隙間に入り込まれ、2トップ妹尾直哉と高木彰人の卓越した決定力に2点を奪われた。カウンター自体も距離が遠いことと左サイドの蓮川雄大をケアされていたことで不発に終わった。
今シーズンのFC東京U-18は第38回 日本クラブユースサッカー選手権(U-18)大会準優勝、プレミアリーグ参入、2014Jユースカップベスト4の記録を残し、来季さらなる飛躍を誓う。

○先発フォーメーション(各列左→右の順)

<ガンバ大阪ユース/4-4-2>
フォワード   高木 妹尾
サイドハーフ  岩本 堂安
ボランチ    山﨑 市丸
サイドバック  初瀬 吉村
センターバック 前谷 吉岡
ゴールキーパー 林

<FC東京U-18/3-4-3(相手ボールでリトリートした際は5-4-1状)>
フォワード   蓮川 佐々木 大熊
中盤ワイド   小山 長澤
中盤中央    阿部 高橋
ディフェンス  大西 高田 岡崎
ゴールキーパー 伊東

○試合経過

ファーストハーフの序盤は、慎重に前に出てくるガンバ大阪ユースのつなぎに対して、FC東京U-18がずるずる下がることなく、しっかりとコースを限定、またはボールを奪いに行き、アグレッシヴなディフェンスで五分の展開。
ちょうど降雨が始まった20分すぎ辺りからはFC東京U-18が3-4-3の陣形を押し出して圧倒。しかし蓮川雄大が何度となく左サイドを突破しようとしても中に折り返したときの精度を欠き、得点を決めるにはいたらず。結局、0-0でハーフタイムに入った。

セカンドハーフも立ち上がりからFC東京U-18が攻め込むが得点できない。するとベンチが動き、後半12分、コンディションのよくない佐々木渉に替えて渡辺龍を投入。直後の後半17分、岡崎慎のパスに抜け出て右サイドを突破した長澤皓祐が中央へクロスを入れると、そこに飛び込んできたのは渡辺。ゴール左に蹴り込んだ一撃が決まり、FC東京U-18が先制した。交替策が的中し、1-0としたあと、後半30分の少し前辺りから、FC東京U-18は自陣に引いてうしろめにコンパクトな陣形を構築する。しかしスペースを消してカウンターを狙うはずがカウンターは通じず、逆に受けにまわったところでわずかな隙を衝かれ、後半31分に同点ゴール、後半45分に逆転ゴールを決められてしまった。
4分表示のところ、5分をとってもらったアディショナルタイムに、FC東京U-18は得点できず、そのまま2-1でタイムアップのときを迎えた。

○レポート

全体的に見ればFC東京U-18が押していながら、がまんして逆襲のときを待ったガンバ大阪ユースの決定力に屈した試合だった。
なぜガンバ大阪ユースがまんできたのかと言えば、それは得点できるという自信によるだろう。決定力が担保となり、90分間、あるいは延長20分間を含めた110分間で相手を上回ればいいという覚悟ができた。
ゴールキーパーの林瑞輝は、年間を通してどの試合でも点を獲っていたので、必ず決めてくれると信じていた旨を、試合後のミックスゾーンで述べている。
反対にFC東京U-18は決定機をつくりながらも最後の精度を欠き、ガンバ大阪ユースに逆転を許した。
「先制すれば相手は前に出てくる。そこでもし獲れたら2点めを狙う」(佐藤一樹監督)のが定石だったFC東京U-18は、1-0としたあと、自陣に引いてうしろめにコンパクトな状態をつくった。この守り切るという意識自体が悪いわけではないことは佐藤監督も認めている。しかしそれで守り切ることを許してくれないほど、相手の個の質は高かった。

2失点めは一瞬、バイタルエリアに隙ができてしまったところを衝かれた失点だが、これは相手の決定力の高さとポジショニングのよさもさることながら、FC東京U-18のほころびによるものでもある。ガンバ大阪ユースの梅津博徳監督は「(つい先日参入戦をこなしたばかりのFC東京U-18と)コンディションの差があったのではないか」と分析したが、ディフェンダーの大西拓真は「意思統一ができていなかったかもしれない。前が追ってしまったあとにうしろがついていかず、間延びしたときもあった」と反省する。

ただ、悲観することはない。
要は横綱のガンバ大阪ユースの本気を引き出した結果であり、悩みや反省はレベルの高いものだ。このゲームで掴んだ手応えと反省材料を糧に、今後のサッカー人生に立ち向かってもらえればよいと思う。

○佐藤一樹監督の談話

2点めが獲れなかったことが痛かったと思います。
でもウチらしいサッカーは出せたのかな。後半は運動量が少し落ちたと思いますけれども、悲観するようなサッカーではありませんでしたし、今シーズン取り組んできたことがガンバさん相手に発揮できたのではないかと思っているので……。

コンディションのところはわからないですけれども、ガンバさんがあいだをとっていい動かし方をするので、その“ジャブ”がきいてきた。だからウチのコンディションがよかったとしても、後半、ああいうかたちで追いきれなくなる場面が出てきたのではないかと思います。

自分たちが相手に合わせるのではなく、やってきたことを出してガンバさんに胸を借りるつもりでハードワークも含めて出していこうと。特に何かを変えようとしたわけではありませんでした。

互いに牽制しあっている時間帯もあったのかなと思いますけれども、ガンバさんはいい動かし方をしてくる。奪いに行けと言いつつもうまいこと守らないとやっぱりやられてしまうので。最終的にはいちばんやられてはいけないタレント、個にやられてしまったという印象です。役者にしっかりと仕事をされてしまった。
撃たれても得点にならないようなシーンで得点につなげてくる辺りはガンバさんらしいと思いました。

佐々木渉はビッグマッチだと何かをしてくれるだろうという期待で先発させました。しかしけがをしていてトップコンディションではなく“二次災害”が起きても困るので、渡辺龍に交替させました。彼が入るとモビリティが出てくる部分もあるので、(交替によって)活性化させたいという気持ちがありました。

点を獲って2点めは隙があれば狙おうという構えだったんですけれども、失点をしないという気構えがああいうかたちにあらわれてしまったのかと思います。それはガンバの圧力もあってのことなのでしょうけれども。
失点は自分たちの不用意なところからだった。ああいうところがゲームのアヤだったのかなともいます。

1-0で勝っていたら相手は獲りに来るので奪ってからのすばやい攻めで2点めという目算もありました。鍵をかければ失点も防げると。しかし中盤でつまらないミスが出たしたので、自分たちで幅を使って動かし、さらに自分たちのほうにグッと持ってきてしまう、ということができればよかった。
下げたこと自体はゲームプランとしては悪くなかった。でもちょっとボールを動かせるような雰囲気になってミスがこまかいところで出てきてしまったので、その辺を相手のタレントはしっかりと衝いてきた。

(今シーズンの成績は)選手が目標に対して日々、真摯に取り組んできた結果だと思います。選手たちが築いたものにぼくが連れてきてもらったという部分もある。選手は自分たちで主体性を持って取り組める集団だったのではないかと思います。
特にことしの三年生はぼくがおのチームに来てからの三年間をいっしょに過ごしている、同時入学なので(笑)。ほんとうに思い入れもありますし、よくやってくれたということは、最後のロッカーでも言いました。
ありがとう、というところは、正直あります。
来年は舞台がプレミアに移るので、こういう展開も考えられる。個の爆発力でとんとん、とやられる。なんとなく自分たちで支配していてもやられるということが経験できると思う。そういう意味では、来年につながる最後のゲームだったのではないかと思います。

リザルト◆2014Jユースカップ 決勝トーナメント 準決勝

2014Jユースカップ 決勝トーナメント 準決勝
2014年12月20日 11:00キックオフ ヤンマースタジアム長居
ガンバ大阪ユース 対 FC東京U-18
【主審】西山貴生【副審】眞鍋久大、浜根利之
【天候】曇のち雨、弱風、気温8.1℃、湿度64% 【ピッチ】全面良芝、乾燥
【入場者数】795人

ガンバ大阪ユース 2-1(1st:0-0)FC東京U-18
【得点者】渡辺龍(62分=FC東京U-18)、妹尾直哉(76分=ガンバ大阪ユース)、高木彰人(90分=ガンバ大阪ユース)、

【警告】高橋宏季(34分、ラフプレー=FC東京U-18)、吉岡裕貴(71分、反スポーツ的行為=ガンバ大阪ユース)、山﨑拓海(90分+5、ラフプレー=ガンバ大阪ユース)

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