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内容は悪いが結果は大勝!【ショートレビュー/マッチレポート】2013 Jリーグディビジョン1 第16節 アルビレックス新潟対FC東京_第1報(07/13)[4,560文字](2013/07/14)

◆ショートレビュー

 

いちばん危険な時間帯であるハーフの開始直後と終了間際に失点せず、逆に得点して勝負を決めた試合運びは評価できる。ランコ ポポヴィッチ監督は「この試合でいちばん重要なのは勝点3を獲ったこと」と言う。そのとおりだろう。
対サンフレッチェ広島戦に敗れ、対浦和レッズ戦では追いつかれ、内容はいいのに結果がついて来なかったことが悔しいという意味の言葉は、ポポヴィッチ監督のみならず、ミックスゾーンで捕まえられる選手のほとんどが口にしていた。四連戦の前半二試合に比べると相手にプレッシャーをかけてボールを奪ったり、パスワークが活きてゲームを支配したりする時間帯は少なく、内容はかなり悪かったが、勝ったこと自体は喜ぶべきだ。

しかし昨季のJ1開幕戦対大宮アルディージャ戦のように、ゴールキーパーの権田修一に大活躍させてしまったことは反省しなければならないだろう。そもそも支配できていれば、権田が至近距離で相手のシュートを弾く神がかり的なセービングをする必要はまったくなかった。それでも権田は危険のことごとくを打ち消し、攻撃ではトップに長い矢のボールを打ち込んだり、近くの選手につけたりと、使い分けをして東京に一定の芯のようなものをもたらしていた。もちろん、がんばっていたのはディフェンディングサードで水際の守りを見せていたディフェンダーたちもいっしょだ。
疲労もあって新潟のタテへの突進に屈指、全体が間延びしてしまったことは問題だ。ほかのチームが相手ならやられていたかもしれない。間延びさせないか、間延びするのを前提にうまくごまかす方法を考えるか、暑い夏の戦い方を考えつづけていく必要がある。

とはいえ、やはり得点に喜ぶべきところはある。セットプレーで得点できた1点めは、今季ここまで攻守に渡りセットプレーを苦手としてきた東京にとって自信になるし、2点めのPKは、この日見せた数少ない連動した「崩し」によって獲得したもの。またPKでは渡邉千真が率先してペナルティスポットに向かい、それまで流れのなかでしか決めていなかった得点に、10点めにして初めてPKによるゴールを加えた。渡邉は練習試合の対湘南ベルマーレ戦でPKを決めるなど、そのシーンがあればいちはやくペナルティスポットにかけつけ、PKキッカーといえばカズマ、という空気を醸成してきた。

黙っているとルーコンになってしまうが、ルーコンが蹴ると決まっているわけではない──以前、渡邉はそう言っていた。PKでも得点を重ねるぞという渡邉のぶれない意思が実った1点だった。

「自分が蹴るという自信を持ってやった」「おれが蹴るでしょう、あれは」。

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