【コラム】FC東京を支える大学ナンバーワンの系譜とU-18出身者の増加(2013/01/10)
椋原健太のセレッソ大阪への期限付き移籍が決まった。ここぞという試合に巡ってきた大舞台のチャンスをものにし、印象的なゴールを決めてきた椋原──。そんな彼の移籍は、ある程度予想されていたこととはいえ衝撃的だ。
突き詰めて考えてみると、契約に関する条項が改正されるなど選手が移籍しやすい状況が整えられ、市場の流動性が増してきたことと無関係ではないだろう、という気にもなる。
また、下部組織からの新人獲得が当たり前となり、FC東京U-18出身者が増えたことで、生え抜きで主力だから他クラブへの移籍はない、とも言えなくなってきているのではないか、とも思う。
オフの移籍は、選手本人の意向と新シーズンの構想、他クラブの要望との兼ね合いで決まることだが、遠因または背景には前述のような事情があるはずだ。
以下は椋原の移籍を想定していた原稿ではないが、新人補強と移籍市場を関係を考える材料としてお読みいただければさいわいだ。
◆福岡大学の牟田は名古屋へ、早稲田大学の富山は大宮へ
福岡大学の乾真寛監督は「大型のセンターフォワード、ボランチ、センターバックはなかなか育ちにくいポジション。そのあいだでプレーする足許の巧い選手はたくさんいるので、大型の選手を育てたい」と言っている。先頃、第61回インカレ(全日本大学サッカー選手権)で準優勝したメンバーには、センターバックの牟田雄祐(186センチ、四年、筑陽学園高校)、大武峻(188センチ、二年、筑陽学園高校)、ボランチの田村友(185センチ、二年、九州国際大学付属高校)、山﨑峻吾(186センチ、二年、玉野光南高校)と、185センチ以上のフィールドプレーヤーが四人いた。ちなみに三年生のゴールキーパーふたりは藤嶋栄介が187センチ、大森圭悟が191センチと、彼らもかなりのサイズがある。
Jクラブでこのクラスのチームとなると、田中マルクス闘莉王(185センチ)、増川隆洋(191センチ)、ダニエル(186センチ)、ダニルソン(185センチ)、ケネディ(194センチ)を擁する名古屋グランパスくらいしか思いつかない。
彼らが大型選手の扱いに長けているからなのか、牟田は名古屋への加入が内定している。そして決勝戦で牟田がマークした早稲田大学四年のフォワード富山貴光が大宮アルディージャへ。大学ナンバーワン級のセンターバックとセンターフォワードはしっかりJ1へと流れていたわけだ。なお富山は矢板中央高校の出身で、同校でチームメイトだったフォワード湯沢洋介は駒澤大学を経て栃木SCに加入する。いずれもユニバーシアード日本代表として2011年の第26回ユニバーシアードで得点を決めている。
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