「スタンド・バイ・グリーン」海江田哲朗

【トピックス】『想像を超える衝撃』 FIFA U‐17 ワールドカップ現地レポート(23.11.29)

U‐17ワールドカップを戦った、東京ヴェルディユースの山本丈偉(写真右)と川村楽人。

U‐17ワールドカップを戦った、東京ヴェルディユースの山本丈偉(写真右)と川村楽人。

11月10日に開幕したFIFA U‐17ワールドカップ インドネシア2023、決勝の顔合わせはドイツ vs フランスとなった(12月2日 日本時間21:00キックオフ)。
U‐17日本代表はポーランド、アルゼンチン、セネガルと同居する非常に厳しいグループに入ったが、2勝1敗でノックアウトステージに進出。だが、ラウンド16でスペインに1‐2で敗れ、大会を去っている。
東京ヴェルディユースから選出された、MF山本丈偉(2年)とMF川村楽人(2年)は同年代の世界トップクラスとの戦いで、何を目の当たりにし、何を感じ取ってきたのだろう。大会を取材したSBG特派員=松尾祐希(サッカーライター)がインドネシアの熱を乗せて伝えてくれた。

※大会の結果や試合データはこちら

■強豪国と真剣勝負ができた意義

11月24日に行われたU‐17ワールドカップの準々決勝。インドネシアの首都・ジャカルタにあるJakarta International Stadiumでは、スペインとドイツ、アルゼンチンとブラジルが熱戦を繰り広げていた。

ひっきりなしに車が行き交い、どこかしこでクラクションが鳴り響く。その脇から我先にとバイクが走り抜けていくのだが、車とバイクの攻防はこの国の活気を示しているように思えた。そんな道を駅からタクシーで走ること40分。海沿いのエリアに抜けると、巨大な建造物が現れる。

U‐17ワールドカップの会場としてグループステージから準々決勝まで使用されるインターナショナルスタジアムに到着すると、中に入るまでに出店がいくつも並んでいた。非公式のグッズが所狭しと並んでおり、悪びれずに我がもの顔で売りさばく様子はいかにも“東南アジア”という雰囲気。雑多なエリアをくぐり抜け、スタジアムの入り口に到着すると、メインスタンドの上層部に位置する記者席へ向かった。

開閉式のスタジアムはとにかく風が入らず、座っているだけなのに汗が吹き出してくる。日当たりもよくないのだろう。ピッチの芝は連戦の影響も重なって、遠く離れた場所からでも土が露出しているのがわかり、お世辞にもよい状態とは言えなかった。だが、そこで繰り広げられた熱戦は日本の力を知るには十分だった。

今大会、日本はグループステージの第2戦でアルゼンチンに1‐3、ラウンド16でスペインに1‐2で敗れており、日本の力を見極めるうえでこの2チームの勝ち上がりはひとつの指標になる。特に第2試合でアルゼンチンがブラジルに対して見せた熱量と迫力は日本ではお目にかかれないモノ。3‐0のスコア以上に、世界トップレベルとの差をこれでもかと痛感させられた。

とはいえ、17歳で強豪国と真剣勝負ができたのは大きな意味がある。日本のなかにいては、感じられない“未知との遭遇”がたくさんあったからだ。それはヴェルディっ子のふたりにも言える。

2019年大会の藤田譲瑠チマ(当時東京Vユース、現シント=トロイデンVV)に続き、山本丈偉と川村楽人が大舞台に挑んだ。

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