デイリーホーリーホック

「松田隼風選手記者会見全文『念願の海外クラブでのプレー。縦への推進力やクロスの強みを活かして日々全力で戦う』」【HHレポート】※無料記事

【写真 米村優子】

6月11日、水戸市小吹町のケーズデンキスタジアム水戸で開催された千葉戦後、ドイツ2部・ハノーファー96へ期限付き移籍が決定した松田隼風選手の記者会見が開催されました。そのコメント全文を紹介します。

【写真 米村優子】

◯小島耕社長
「皆さんまずは遅い時間までお残りいただいて、誠に有難うございます。今日のゲームはこれまでの前半戦の苦しい戦いの鬱憤を晴らすような素晴らしいゲームを見せてくれたチーム、スタッフにまず感謝をしたいと思います。この天候悪い中、3000人を越えるサポーターが集まっていただいて、最後まで熱い声援をいただいたことを感謝したいと思います。何よりも松田選手が90分間出て、怪我なく終われた事は良かったです。たくさんの人に『今日、(松田選手を)出すんですか?』と聞かれたのですが、無事に90分間を終えられて、素晴らしいパフォーマンスを見せてくれた事に感激しています。松田選手の移籍に関してはリリースの通りです。私からは移籍の狙い、及び経緯に関してご説明させていただきたいと思います。ハノーファー96との提携は4月28日に結ばせていただきました。その中で我々の若い選手を海外移籍するのは日本サッカーのためでもあり、ハノーファーが日本の若い選手を発掘したいという思いと一致しました。両クラブで日本のサッカー選手の才能を育てるという合意を得て、今回は松田隼風選手に白羽の矢が立ったという事であります。当然、松田選手は年代別の日本代表にも選ばれていますし、おそらく遅かれ早かれそういう話はやって来たと思いますが、今回はハノーファーとの話が進んだ事で、先方のリクエストもあり、我々は快く送り出す事になりました。我々は育成型クラブで、責任企業を持たない経営規模の中、選手たちを育て、J1やJ2のトップクラブに輩出し、その移籍収入で次の選手を発掘するスタイルを築き上げて来ています。過去3年で9人のJ1選手を輩出していますが、これは他のJ2、J3クラブと比較して最多です。我々としては今日見ていただいたように、若い選手を積極的に起用し、そこで活躍することで次のステップへ選手達を送り出すスタイルを取っています。ただ今回は松田選手に限らず、日本と海外サッカーの関係性を見た時、今、日本のクラブから海外に出ていく事で、また更に夢が広がると思います。J2からドイツへ、世界トップリーグに出る事は我々の期待があります。これは現実的に言うと、今回彼は一年間の期限付き移籍ですが、もしその間に活躍が認められれば、正式に完全移籍となります。その際には我々が経験したことがない移籍金を手に入れる事が出来ます。当然、そういった狙いも含めてハノーファーとの移籍を進めてきました。ここで聞いている松田選手はかなりプレッシャーになるのかもしれませんが、彼がしっかりとした活躍することで、水戸ホーリーホックは宝庫だと先方に教えることが出来、両クラブの提携が深まると信じています。今日は我々の経営規模で海外クラブに選手を送り出す日が来るとは思っていませんでした。それが実現したことは嬉しく思います。2年前に特別指定選手として来た時、ほとんどコミュニケーションが上手く取れないような選手でしたが、最後の挨拶は本当に素晴らしいと思いました。人間的にもホーリーホックで成長してくれました。ドイツでさらなる成長を経て、日本のサッカーのためにドイツを越えて、さらなるビッグクラブに行って、日本代表となって、日本のサッカーを牽引する存在になって欲しいです。そしてキャリアの後半に水戸ホーリーホックに戻ってきてくれればいいなと思います。そういったキャリアのスタートに是非たくさんのエールを送っていただきたいと思います」

◯松田隼風選手
「海外移籍ということで、前から世代別代表とか国際試合を経験して、その経験をする度に、自分も早く海外でプレーしたい気持ちが強まっていました。最近で言うと、U-20W杯を経験して、その想いが更に強くなった中で、こういった有り難い話をいただけたので、そこは前向きにチャレンジしたいという思いで移籍を決断した形です」

【写真 米村優子】

◯質疑応答

Q.水戸ホーリーホックに在籍した一年半でどんな事を学び、得たのでしょうか?
「高校卒業後の加入となりましたが、大学卒業してから加入した選手よりも社会の常識や知識が浅かったです。水戸ホーリーホックはサッカーだけでなく、人間性も成長できるようなカリキュラムがあったり、選手ファーストで色々と進めてくれた。自分もサッカーのスキルも人間性も両方成長できました」

Q.ハノーファーの話を貰った時の率直な気持ちは?
「前から海外でプレーしたい思いがあったので、素直に嬉しかったです。そこでまた違う覚悟が沸きました」

Q.今日の試合後、たくさんのサポーターからエールがありました。
「自分は推しメン1位なので、水戸の中ではファンが一番多いと思います。それだけすごく手厚く送り出してくれたので、そういった姿を見て、このクラブで良かったなと思いました。ファンのために良い報告が出来るように頑張ろうという気持ちが沸きました」

Q.最後のプレーはいかがでしたか?
「水戸は今シーズン、Jリーグで連勝出来ていなかった中で、自分の最後の試合を迎えました。絶対にこのチームを勝たせたいという強い気持ちを持ってプレーしました。それが結果になって、すごく嬉しい気持ちです」

Q.スタジアムの雰囲気を味わいながらプレーしたのでしょうか?
「天候が雨の中で、水戸で3000人以上入る時とか、あまりないですよね?今日は自分のためだけではないと思いますが、試合をやっていて、僕はサイドなのでサポーターの声が一番聞こえますし、僕的には普段の試合より今日の試合の方が、ファンも熱量高く持っていて、すごく嬉しかったです」

Q.水戸への経験を踏まえて、ドイツでどのように暴れたいですか?
「自分のストロングは、まだ分からないですが、すごく合うと思います。環境とかもありますが、そんなの関係なしに、目標はトップで試合に出ることなので、日々全力で戦っていきたいと思います」

Q.代表を経験する度に海外でプレーしたいと思ったという話がありましたが、そう思うようになった具体的な出来事があったのでしょうか?
「わかりやすいきっかけがあります。フランスのモーリスレベロトーナメントに出場してアルゼンチンと試合をした時、逆サイドだったのですが、今はマンチェスターユナイテッドで活躍しているアレハンドロ・ガルナチョの姿を見たこと。実際に点も決められましたし、本当にこれが日常の基準が高いチームでプレーしている選手なのだと思いました。自分も早くそのレベルでプレーしたいというきっかけとなりました。海外遠征をする度に、アジアやヨーロッパとか南米のチームと対戦して来ましたが、どのチームも日常のレベルが高い。それに刺激された感じです」

Q.思い描いているキャリアは?
「海外でサッカーをしたいという思いがあります。海外で挑戦できるという環境を水戸から貰うことが出来たので、今回はハノーファーというチームですが、更に自分の価値を高めていきたいですね」

Q.自分のどのストロングがドイツのサッカーに合うと思いますか?
「ドイツというよりか、海外のチームと対戦する中、縦に速いサッカーを実際に体験して、僕は縦に推進力があるプレーだったり、そういったのがストロングですし、個人で打開してクロスまで行ける所とか、自分としては日本より合うのかなと思います」

Q.逆に不安に思っていることは?
「サッカーは全くないのですが、自炊しないとダメなので、自炊できるかな?というぐらいですね。今は自炊をしていますが、やはり日本なので外食に頼ってしまう。近くに美味しい店があるので、それを食べてしまう。向こうでは自炊しようかなと思っています」

Q.言葉の方は?
「今も勉強していますが、向こうに行ってからの方がやらなければいけない環境なので。言葉は向こうに行けば覚えられると思います。勉強して頑張ります。(『今、教わっているんだよね?』と小島社長)アインス(ドイツ語で一つ、一人などの意味)とか。単語っす」

Q.小島社長に質問です。ハノーファー側は松田選手のどのような所を評価しているのでしょうか?
「当然、年代別代表の試合で彼の試合を観ています。攻撃的なセンスは評価が高いです。U-23のドイツ4部相当のチームに所属する事になっていますが、当然カップ戦で呼ばれたり、キャンプはチャンスがあればトップチームのトレーニングマッチだったりする機会はあると聞いています。全くチャンスが巡って来ないという訳ではないと、契約を担当した瀬田からも聞いています。彼らとしても松田選手に必ずチャンスを与えてくれると思います。全力で戦うプレースタイルも評価して貰って、早くトップチームでプレーをして貰いたい。ハノーファーは2部で少し成績が振るわなかったので、1部に復帰できるような原動力になって欲しいと思います。今回はU-23の4部相当のチームと契約したことで、松田選手の実力に合っていないのでは?という声もファンサポーターの方々から聞こえてくるのですが、そんなことはなくて、彼に必ずチャンスが与えられると思っていますし、そういう状況だという話はクラブ間でしていますので、逐一、松田隼風情報をクラブから発信しますので、是非みなさんチェックしていただければと思います。その頃にはちゃんと文章でドイツ語を喋れるようになっていると思います」

Q.ドイツのブンデスリーガの印象は?
「まず日本よりフィジカル、身体能力が高いと思っています。その中でも縦に速く、力強い。本当、個人戦術。サポートも来ないものと思っています。自分の本当の個人能力が大事なリーグでもあると思う。そういった印象ですね」

Q.ハノーファーには室屋成選手が右サイドバックにいます。将来、一緒に試合に出ている姿を期待しています。
「同じチームに日本人の選手がいるのは、気持ち的にも有り難い事。ポジションが逆なので、理想は自分も出て、室屋選手も出てという形が出来れば嬉しいなと思います」

Q.水戸ホーリーホックの試合で印象に残っているものは?
「昨年になってしまいますが、栃木戦と群馬戦。北関東ダービーで試合内容も劇的な勝利。最後の試合でしたので印象的でした」

Q.松田選手は北海道函館市出身ですが、地元の方へのメッセージもお願いします。
「実家がしゅうまい屋とかやっていて、スーパーとかにも売っているので、僕の実家のしゅうまいを食べに行って下さい。松田かまぼこ商店と言います。しゅうまいの名前じゃないですが。季節によって伊達巻とかしゅうまいとか、家族が作ってるはずなので。食べて欲しいです」

Q.水戸のファンサポーターにメッセージを。
「水戸のファンサポーターの方には感謝しきれないぐらいの思いがあります。どんな状況でも応援してくれますし、そういった方々への恩返しは、向こうでの活躍の報告。そういった報告ができるように、僕は頑張ってきます。水戸から応援をよろしくお願いします」

【写真 米村優子】

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