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「本間幸司選手が東京五輪聖火ランナー親子をサプライズ訪問『これからもスポーツの力を信じ、地域で苦しむ人々や子どもたちに寄り添う』」【HHレポート】※無料記事

【写真 米村優子】

7月4日、本間幸司選手が常陸太田市天下野町の竜神大吊橋で実施された東京2020オリンピック聖火リレー常陸太田市会場の聖火ランナー・櫻井由子(なおこ)さんとその家族らを応援しようとサプライズ訪問しました。

【写真 米村優子】

本間選手と常陸太田市在住の櫻井さん親子の出会いは、2015年の茨城県立こども病院。
本間選手はチームメイトらと共に病院の夏祭りを慰問し、入院中だった櫻井さんの息子・淳さんと交流をしました。
淳さんは幼稚園の年中の時、難治性小児がん神経芽腫のステージ4と診断され、当時は抗がん剤や放射線、手術や移植など大きな副作用も伴う治療をしている最中でした。
難病と闘っている中で、地元のヒーローに勇気付けられた淳さん。苦しい治療に耐え抜いた結果、寛解して退院することが出来たのです。
そして元気を取り戻した後に始めたのは、なんとサッカー。
中学生となった現在もサッカー部に所属し、憧れの本間選手と同じくボールを蹴り続けています。
息子を通じてスポーツの力を実感した由子さんは、「今、病気と闘っているみんなのために、そして病気に打ち勝ったみんなのために」と年齢制限によって走れない淳さんの代わりとなって聖火ランナーに応募し、見事大役を任されることになりました。

【写真 米村優子】

そんな水戸サポーターの櫻井さん親子がNHK水戸放送局の番組「いば6」で特集されているのを偶然自宅で見ていた本間選手は、「淳君と写真を撮った時のことを覚えていたんです。僕らよりも厳しい思いをしていて、掛ける言葉もなかなか見つからず、ただ楽しい時間を過ごすだけでした。その時は『僕らでは何も与えられないな…』と思っていたのですが、お母さんの話や元気にサッカーをやってくれている淳君の姿を見て、あの活動をしていて良かったと思いました」と感銘を受け、再会を希望していました。
ちなみにその映像は、選手全員が参加するミーティングでも披露され、中には涙を流しながら観ていた選手もいたそうです。

聖火リレー当日、本間選手が「淳君の元気な姿を直接見たい」と常陸太田市会場を訪問した所、家族や友人らと沿道で待機していた淳さんは本間選手の姿を見つけると、驚きと共に満面の笑顔を浮かべていました。
感動の再会を果たした本間選手が「まさかサッカーをやってくれているなんて。これでスタジアムにも遊びに来てね」と自身のユニフォームをプレゼントすると、「うわ!すげぇー!嬉しいです!」と淳さんは喜びを顕にしていました。

【写真 米村優子】

開始予定時刻ちょうどに、常陸太田市会場の聖火リレーの第一走者である由子さんが竜神大吊橋の駐車場へ向かってスタート。
本間選手と淳さんが名前入りのうちわや手を振りながら応援している前に差し掛かると、由子さんは指を指しながら爽快に走り抜けていました。
聖火リレーを終えた直後、由子さんは「その節はお世話になりました。わざわざ有難うございます。いつも応援しています」と本間選手に挨拶し、束の間の交流を満喫。
淳さんは「一番好きな本間選手が来てくれて嬉しかったです。これからもサッカーを頑張りたいです」とやる気に満ちている様子でした。

【写真 米村優子】

櫻井さん親子の聖火リレーを見届けた本間選手は「『僕らは力になれるのか?』『僕らでいいのか?』と思うことも多いのですが、淳君やお母さんらから『力を貰った』『注射にも耐えられた』と聞くと、スポーツの力はあるんだなと改めて実感できました。僕も淳君から大きな勇気を貰いましたし、自分たちの悩みがいかにちっぽけなものだと思わされました。これからもサッカーをやっていく意味を考えながら、地域で苦しんでいる人や子どもたちに寄り添っていければ、それ程嬉しいことはありません。長い時間を経てですが、それを感じられたことは僕にとって大きな出来事。これらを若い選手やクラブに伝えていきたいです」と力強く語っていました。

コロナ収束後、茨城県立こども病院の慰問再開への意欲を示していた水戸のレジェンド。
サッカーやスポーツの力を信じて、地域で苦しんでいる人や子どもたちに寄り添う活動はこれからも続いていきます。

【写真 米村優子】

(米村優子)

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