2022.12.17

【コラム】A契約枠(暫定で)埋まる？……チーム編成の基礎知識

2022年12月17日 16時10分　
カテゴリ：コラム
タグ : 2023シーズン編成

12月15日に永井堅梧の期限付き移籍加入が発表され、おそらくではありますが、現時点での横浜FCのA契約枠が埋まりました。今後は、ある程度の実績を持った選手を加入させるなら、誰かの放出がセットということになります。このコラムでは、トップチームの編成をより理解するために、選手の契約の種類や人数制限など、基礎知識を整理しておこうと思います。

▼選手の契約には3種類ある

まず、チームが契約できる人数の制限について。プロ野球は70人まで(そのうち1軍の試合に登録できる人数は29人)ですが、Jリーグの場合はその上限はありません。ただし大きく違うのは、選手のプロ契約の内容にも種類があること。選手によってA契約、B契約、C契約と分かれており、そのA契約の人数が25人まで(ACL出場チームはその年度のみ27人までOK)と制限されています。

便宜的に、C契約、A契約、B契約の順に説明していきましょう。

C契約は、アマチュアからJリーガーになった選手が最初に結ぶ契約です。年棒の上限は460万円で、下限はなし。1チームに登録の人数制限はありません。C契約は3年間しか結ぶことができず、4年目からはA契約かB契約に移行する必要があります。また、一定の出場時間を満たした場合、これもA契約かB契約に移行することになります。J1は450分、J2は900分、J3は1350分がそれに必要な時間で、ルヴァンカップや天皇杯、日本代表、オリンピックやU-20W杯など年代別代表の試合の出場時間も加算されます。

A契約は、最低年棒が460万円で上限はありません(初めてA契約となる選手の初年度は670万円まで)。C契約から条件を満たした選手の多くは、A契約に移行します。前述したように1チームに25人までの制限がありますが、シーズン途中にC契約からA契約になった選手の場合、その年度は25人枠にカウントされません。また期限付き移籍中の選手については、保有元の枠にはカウントされず、借りているチームの枠にカウントされます。たとえば25人枠いっぱいのチームがシーズン途中で助っ人外国籍選手を補強したいと思っても、その前に既にチームにいるA契約の選手の誰かを完全なり期限付きなりで移籍させて枠を空けることが必要になります。

B契約は、年俸の上限はC契約と同じで460万円、下限はなし。登録の人数制限もありません。C契約の3年が過ぎても、あるいは規定の出場時間を満たしても、戦力として微妙と評価された選手はこの契約になることがあります。チームにとっては、年俸を抑えられること、A契約の25人枠に関係なく年齢が上の選手も抱えられることがメリットです。選手にメリットがあるかというと微妙ですが、プロになって3年を過ぎてもなかなか芽が出ない選手がプロとしてサッカーを続けたい場合に、「B契約なら契約してあげる」という話をどう受け止めるか？ということ。それで活躍したときに、年俸が低い＝違約金も少ないので移籍しやすいということも考えられます。また、選手には固定の年俸とは別に出場給や勝利給といった『変動報酬』というものがあり、C契約では出場給と勝利給しか認められていませんが、B契約ではゴール給や無失点給、順位による報酬など自由に設定できるので、年俸は低くてもそこでカバーするような契約もできます。

▼外国籍選手枠について

外国籍選手については、以前はチームに何人までと決まっていましたが、現在は登録する人数に制限はありません。ただし試合にメンバー入りできる人数は決まっていて、J2とJ3では最大4人、J1は最大5人となっています。強力な外国籍選手を多数抱える横浜FCにとっては、J1で1枠増えるのは喜ばしいことです。またJリーグ提携国(タイ、ベトナム、ミャンマー、カンボジア、シンガポール、インドネシア、マレーシア、カタール)の選手は外国籍と見なさない取り決めとなっているので、噂のグエン・コン・フオン選手が加入した場合も外国籍選手枠にカウントされません。

また今年3月に移籍していったハン・ホガン選手のように日本生まれで日本の学校で教育を受けた選手は各チーム1名のみ外国籍選手扱いしないという特例もあります。いわゆる『在日外国人枠』です。これは現在のJリーグ試合実施要項には記載されていないものの、大元の日本サッカー協会の定める規則にそう明記されています。

参考：サッカー選手の登録と移籍等に関する規則(JFA)。

※↑リンク間違えてたので修正しました※