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【無料記事】J1復帰へ舞台が整ったホーム最終戦。三ツ沢に歓喜の歌よ響け……J2第41節・金沢戦プレビュー

▼三ツ沢で今季初の声出し応援。一丸の勝利を!

まずは勝って昇格を決めたい横浜FCが、この試合でどういう戦い方を選ぶかだ。大分戦のようにアグレッシブにプレスにハメて主導権を握れれば、確かにそれが理想だ。しかし話を混ぜ返すようだが、大分戦で3失点したことを忘れてはならない。確かにスーパーゴールでの失点だったとはいえ、そこに因果関係は絶対にある。1失点目にしても3失点目にしても、攻撃に欲を出した結果のミスからボールを奪われたことが失点につながっている。

柳下監督の金沢は[4-4-2]をベースとしたチームだ。今季一度だけ第35節・千葉戦で[3-4-2-1]のミラーゲームを挑んだが失敗に終わっただけに、横浜FC戦でも[4-4-2]のはず。大分戦では大分が3バックのため[5-2-3]の形で前線の3枚からプレスをハメに行ったが、同じようにプレスを機能させるならこちらも守備時は4バックで前線に4枚を割く必要がある。守備時の4バックは第30節・大宮戦(2-3)、第34節・山口戦(3-3)、第36節・山形戦(0-2)と複数失点を繰り返し、以後は封印されている。

まずはスタメンの左ウイングバックに注目だ。そこに武田英二郎、あるいは右CBに中村拓海を入れて亀川諒史がポジションを移すなら、守備時は4バックでアグレッシブに圧倒しに行くことを選んだということだろう。ただこの土壇場で、勝算はもちろん小さくはないが、その賭けに出る必要があるかどうか。予想では山根永遠あるいは山下諒也で、5バックを継続すると見る。琉球戦を見る限り、金沢は片方のサイドバックを上げて3バックでビルドアップする時間が長く、またビルドアップの練度から見ても[5-2-3]で十分にハメることはできそうだ。実際に前回対戦ではそれで前半は主導権を握れていた。試合は90分あり、必ずしもキックオフから圧倒しに行く必要はなく、しっかりリスク管理しながら試合を進めたい。

そして攻撃では柳下監督の代名詞である“一人一殺”のマンツーマン守備をいかに攻略するか。大分も前線から激しくプレッシャーに来たが、必然的に守備ラインを高く上げてきたためマルセロへのロングボールが有効となり、中盤やサイドも空いてきて、攻撃の良い形を作ることができた。金沢はマンツーマン気味とはいえプレスの開始点をそう高くは設定しない上に、マルセロと航基には庄司朋乃也と孫大河の武闘派CBがピッタリ張り付いてくるだろう。いかに3人目の動きでマークを外し、長谷川竜也や齋藤功佑がフリーで抜け出せるか。そして両翼のイサカ・ゼインや山根が突破できるかが鍵になってくる。相手CBを一瞬でもボールウォッチャーにすることができれば、航基がエースの仕事をしてくれるだろう。

この試合が横浜FCにとってはホーム最終戦であり、今季初めての声出し応援試合となる。2020年にプロデューした山下は、「ホームでの声出し応援はプロになって初めて。すごく楽しみですし、その最高の雰囲気の中で昇格を果たせることを今からワクワクしています」と声を弾ませる。前回の昇格を満員の三ツ沢で味わった功佑も、「サポーターの気持ちをより一層感じることができる」と表情を引き締め、「必ずみんなで勝利を勝ち取って、J1昇格を決めて、サポーターの皆さんと喜びあいたい」と誓った。

最高のチーム状態に、最高の舞台が整った。ここで決めろ。三ツ沢に歓喜の歌を響かせるために。

(文/芥川和久)

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