試合内容の焦点は、ビルドアップの一点に尽きる。ビルドアップ能力に長ける選手を多く起用する一手も考えられる [J26節 柏戦プレビュー]
川崎フロンターレ戦における0-3の敗戦をどう考えるか。失点場面はいずれも選手個人のミス絡みなので、チームとして過度に落ち込む必要はないという捉え方もできるだろう。エラーを犯した選手が足元を見つめ直して今節以降の試合に臨めばいい。そして周囲の選手も他人事とは考えず、それを自身に重ね合わせることで次につなげたい。
一方で、その黒星の前まで14試合負けなしだったことがどのように影響するか。3ヵ月以上もなかった敗戦によって少なからずショックを受けているであろうことは、今週の練習の雰囲気からも見て取れた。「負けてしまったので少しは雰囲気が落ちているけど」と客観的にチーム事情を語ったのは主将の齋藤学である。仕切り直しの一戦にするために、まずはメンタル面の上昇が欠かせない。
その上で今節の先発メンバーをどうするか。今週に入り、毎日のように主力組の顔ぶれを変えながらトレーニングを行った。水曜日にはフォーメーション練習を3本行い、さまざまなポジションの選手を入れ替えながら柏レイソル戦に向けて準備を進めた。フロンターレ戦とまったく同じ11人が先発する可能性は限りなくゼロに近い。
確実に先発すると言い切れる選手はディフェンスリーダーの中澤佑二とキャプテン齋藤、それとGK陣の長である飯倉大樹くらいだろう。裏返せば、その他のポジションは先発相応の実力を持っている選手が控えているということ。パク・ジョンス、金井貢史、下平匠、中町公祐、前田直輝、ダビド・バブンスキー、富樫敬真といった面々が先発に名を連ねるかもしれない。
試合内容の焦点は、ビルドアップの一点に尽きる。柏は前回対戦同様に高い位置からプレッシャーをかけてくるだろう。その強度がどれほどのものか。以前よりも外国籍選手の能力に比重を置くメンバー構成になっているだけに、守備の出足が落ちているようならチャンスは増える。あるいはビルドアップ能力に長ける選手を多く起用する一手も考えられる。
連敗だけは許されない。落ちていくのは簡単だ。連敗すれば、14試合負けなしがなかったかのように階段を転げ落ちてしまう可能性が高い。当面のライバルである柏に水を開けられ、首位・鹿島アントラーズの背中は遠くかすんでしまう。フロンターレ戦の負けを教訓にして、次に進むために。そしてシーズンの最後に成功体験を得るために。ホームで勝たなければいけない一戦だ。