「ザ・ヨコハマ・エクスプレス」藤井雅彦責任編集:ヨコハマ・フットボール・マガジン

アジアチャンピオンへ王手の1stレグ。 エウベル強行出場で態勢は整った [ACL決勝 1st アルアイン戦プレビュー]

 

「自分たちは横浜F・マリノスなんだという意識」(水沼宏太)

 

決勝である。

いわゆるトーナメントの頂上決戦はワンマッチで雌雄を決する場合が多い。日本ではルヴァンカップも天皇杯も、遡れば高校サッカー選手権もインターハイも、決勝のほとんどが一発勝負だ。

明日は決勝の1stレグ。あくまでも前半90分を戦うだけで「1stレグでは何も決まらない」(ハリー・キューウェル監督)。とはいえ重要な90分であることに変わりはない。前半だけで大差をつけられれば相手の戦意を喪失させることも可能だろう。

 

 

 

 

タイトルが見え隠れしているのだから、モチベーションは自ずと高まる。先発候補で最も若い22歳の植中朝日は闘志を前面に押し出した。

「自分はサッカー人生でタイトルを獲ったことがない。小学生の頃の県大会優勝くらいで、中学も準優勝で終わったので、自分にとって初めてのタイトルとしてACLを獲りたい。何がなんでもという気持ちで明日の試合を戦いたい」

 

 

 

 

マリノスのようなビッグクラブに所属していても、過去にノンタイトルという選手は必ずいる。マリノスは一昨年にタイトルを獲得しているが、昨年から所属した選手は植中のようなケースも珍しくないだろう。どんな規模のどの大会でもナンバーワンになるのは難しく、尊い。

チーム情報に移ると、試合前日に冒頭15分だけ公開された練習の雰囲気がとにかく素晴らしかったことを記しておきたい。ウォーミングアップとレクリエーション要素の強いパス練習のみの公開だったが、グラウンドのあちらこちらで集中力と強度の高さが感じられ、時折混ざる笑顔に好感が湧いた。

 

 

 

 

ACL準決勝2ndレグが終わり、リーグ戦で2分1敗と未勝利に終わった悶々とした空気はすっかり消えている。本来ならばチームの中心に近い位置を担うはずの天野純と小池龍太が別メニュー調整にとどまっているのは残念だが、そのほかの選手は概ねコンディションが良さそう。

「優勝できたら自分たちの価値を高められると思う。決勝に来るまでにもいろいろな思いをしてきたけど、これを常に経験できるようになったら、チームもそうだけど、クラブもそうだし、ファン・サポーターもそうだし、自分たちが目指すところはこんなところじゃダメという意識がつくと思う。今もプロフェッショナルという気持ちを持っているけど、自分たちは横浜F・マリノスなんだという意識が生まれると思う。クラブにとって大きなものが手に入る」

 

 

 

 

チームリーダーのひとり、水沼宏太が実に晴れやかな表情で言った。

 

 

 

「すべてを懸けるに値する試合になる」(エウベル)

 

前日練習にエウベルの姿もあった。

 

 

 

 

ヨコエク

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